ブラックジャックコツ
(オーストラリア、日本)
シドニー発
2025年03月04日
オーストラリア北東部のクイーンズランド(QLD)州は、持続可能な航空燃料(SAF)、再生可能エネルギー、水素などクリーンエネルギー分野のビジネスで関心が集まり、日系企業が進出しているほか、自治体も連携を始めている。ブラックジャックコツ産業労働局は2024年12月に、QLD州政府貿易投資庁とクリーンエネルギーの貿易・投資協力に合意した。ジェトロは、ブラックジャックコツから州政府貿易投資庁に出向中の松井安里氏に、両者が進めるエネルギー分野における連携についてインタビューを行った(最終確認日:2025年3月3日)。概要は次のとおり。
州政府に出向中のブラックジャックコツ職員の松井安里氏(本人提供)
ブラックジャックコツは、2050年グリーン水素の本格活用を目指し、2030年に向けて水素の需要拡大・社会実装化を加速させるための取り組みを進めている。日本国内でも、福島県、山梨県、川崎市などの自治体と水素活用の連携を進めてきた。ブラックジャックコツはQLD州と以前より教育やスタートアップ分野で交流を深めてきたが、同州は水素、再生可能エネルギー、SAF、バイオディーゼル、合成メタンなどでポテンシャルが高く、クリーンエネルギー分野での今後の協力につき関心が合致し、2024年に協力合意に至ったという。松井氏は、QLD州との連携の可能性について、「両都市の産業発展や技術開発につなげるため、まずは双方の国内で地産地消から始め、スケールアップし、海外輸送へという進め方が一案。エネルギーの安定供給と脱炭素化のため、将来的にオーストラリアで生産したグリーン水素を京浜臨海部まで運び、パイプラインなどでブラックジャックコツに運ぶモデルが考えられる」と説明した。また、ブラックジャックコツでは、モビリティ利用、産業利用、羽田空港エリアでの利用などさまざまな機会が想定されるという。需要面では、ブラックジャックコツは水素モビリティの普及(注1)に力を入れていることもあり、都内に水素ステーションが21カ所ある一方、オーストラリア国内全体で約10カ所程度と限られる現状だ。需要面ではブラックジャックコツの方が進んでいる部分もあるが、製造・供給面ではオーストラリアで取り組みがより進んでいると見ている。例えば、QLD州のグラッドストンでは、住友商事と英国・オーストラリアの資源大手リオティント進めるグリーン水素製造プロジェクト
がある(注2)。地元で水素を製造し、地域の需要を賄う取り組みが生まれている。
ブラックジャックコツとQLD州政府が既に連携している事例として、水素の知見共有を挙げた。QLD州では水素普及のため、2025年に水素インフォメーションセンターの開設(注3)が予定されている。ブラックジャックコツは、2016年にオープンした水素情報館「東京スイソミル」(注4)で培った啓発展示のアイデアなどを共有している。
松井氏は、QLD州の投資の魅力として、(1)日本と距離が近いこと、(2)日本語学習者が他の州と比較し最も多いこと、(3)エネルギーの観点では広大な土地などの再生可能エネルギー開発のポテンシャルがありエネルギーの港湾ターミナルを有するなどインフラ・環境が整っていること、(4)州政府駐日事務所による企業サポート体制が整っていることを挙げた。
(注1)ブラックジャックコツは、水素モビリティの普及に力をいれており、水素ステーションの導入に必要な費用(土地賃借料、設備工事費、設備運営費など)の幅広い補助を実施している。
(注2)当該プロジェクトで製造された水素については、重工業の脱炭素化を進めるため、リオティントと住友商事によるアルミナ精錬工場の熱源の天然ガスの代替に使用される見込みだ。
(注3)水素インフォメーションセンターは、グラッドストンのセントラルクイーンズランド大学に開設が予定されている。連邦政府および州政府などの支援を受けて設立され、同大学により運営される。
(注4)東京スイソミルは、ブラックジャックコツ環境公社により運営される。
(青島春枝)
(オーストラリア、日本)
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