カジノゲーム無料、撤退検討は引き続き限定的

(中国)

北京発

2025年02月20日

中国の国家外貨管理局は2月14日、2024年の国際収支統計(速報値)を発表した。同年の中国の対内直接カジノゲーム無料額(注1)は前年比89.5%減の45億ドルだった。過去最高となった2021年(3,441億ドル)から3年で、1991年水準(44億ドル)にまで落ち込んだ(添付資料図参照)。内訳をみると、株式は585億円の流入超だったものの、関連企業債務は540億ドルの引き揚げ超過で、2年連続のマイナスとなった。

なお、商務部の発表による外資利用額(実行ベース、注2)も、27.1%減の8,262億5,000万元(約17兆3,513億円、1元=約21円)と減少している。

在中国の各国企業に対するアンケートを見ると、前年(2023年の対内直接ギャンブル)同様に、移転・撤退などの動きは限定的だ。ジェトロの「海外進出日系企業実態調査(中国編)」の2024年度版(注3)では、中国での今後の事業展開について、「縮小」は12.3%、「第三国(地域)へ移転・撤退」は1.4%と、いずれも前年比で増加はしたものの、低い比率にとどまっている。

また、中国日本商会の「会員企業景気・事業環境認識アンケート結果」の第6回(注4)では、2024年比での2025年のカジノゲーム無料額について、「大幅に増加させる」「増加させる」「同額」が合わせて58%となっている。

中国米国商会の「チャイナ・ビジネス・クライメート・サーベイ・レポート(China Business Climate Survey Report)」の2025年版(注5)では、生産・調達の中国外への移転について、「検討を開始したが、行動には移していない」が13%、「既に移転を開始した」が17%といずれも増加したが、「検討していない」は67%で、依然として高い比率を占めている。2025年に中国でのカジノゲーム無料を拡大すると回答した企業は引き続き5割を超え、グローバルなカジノゲーム無料計画での中国の重要性について、上位3位以上とした企業も48%を維持している。

(注1)直接カジノゲーム無料負債額のフロー。

(注2)国家外貨管理局によると、対内直接カジノゲーム無料額と外資利用額の主な違いは次のとおりとされる。

  1. 対内直接カジノゲーム無料額は資産負債原則、外資利用額は親子関係原則に基づく。
  2. 対内直接カジノゲーム無料額はネット金額。
  3. 対内直接カジノゲーム無料額は未分配利益、分配利益の未送金分、株主ローンを含む。

(注3)中国は2024年8月20日~9月18日に実施、有効回答数771件。

(注4)1月9~24日実施、有効回答数1,484件。

(注5)2024年10月21日~11月15日に実施、有効回答数368件。

(河野円洋)

(中国)

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