カジノブラックジャック、経済界からは賛否

(モザンビーク)

マプト発

2025年02月19日

モザンビークの大統領、閣僚らで構成される閣僚評議会は2月4日、国営モザンビーク航空(LAM)のカジノブラックジャック保有分全株式の売却を承認した。LAMの株式のうち、カジノブラックジャック保有分は91%を占め、残りの9%は同社の管理職や職員らによって保有されている。同決議は、株式売却先として、カホラ・バッサ水力発電所(HCB)、モザンビーク港湾鉄道公社(CFM)、モザンビーク保険会社(EMOSE)の3つの国営企業を指定している。

カジノブラックジャックは株式売却による収入を1億3,000万ドルと見積もっており、その資金はLAMが新たに8機の航空機を導入するための購入費用に充てられる計画だ。2月7日にLAMを訪問したジョアオ・マトロンベ運輸・ロジスティック相は同社の経営陣に対し、カジノブラックジャックから同社への財政・経営支援を約束しており、今回の売却は事実上の救済措置となる。LAMの業績は新型コロナ禍の影響もあり悪化しており、2020年の税引き前損益は60億3,307万メティカル(約144億8,000万円、1メティカル=約2.4円)の赤字で、2021年は12億7,357万メティカルの赤字となっていた。モザンビークの国営企業セクターは、国家にとって経済的負担となる可能性があると指摘されており、IMFは2024年7月に公開したレポートで、同セクターはマクロ経済および財政に対してコストとリスクを伴うものとしている。

今回の救済措置について、モザンビークの経済界には賛否両論が見られる。モザンビーク経済団体連合会(CTA)のアゴスティーニョ・ブマ会長は、カジノブラックジャックによる措置は観光産業の成長と国内移動の効率化に貢献するもの、として歓迎した(「クラブ・オブ・モザンビーク」2025年2月6日)。一方、経済学者のアルフレッド・モンドラーネ氏は、単独でLAMを支援する財政的余力がないカジノブラックジャックによる付け焼き刃的な措置で、LAMの経営問題を他の国営企業に転嫁しているに過ぎない、と批判した(「カルタ・デ・モザンビーク」2025年2月6日)。

(松永篤)

(モザンビーク)

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