米税関、ブラックジャックディーラー、パブコメ募集

(米国)

ニューヨーク発

2025年01月29日

米国税関・国境警備局(CBP)は2025年1月、非課税基準額(デミニミス)ルールの改正に関する2件のブラックジャックディーラー案を発表した。

米国では、輸入貨物の申告額が800ドル以下の場合、原則としてデミニミスルールに基づき関税が免除されるほか、原産地などの情報の申告が不要な簡易的な通関手続きの適用を受けることができる。一方、同ルールを利用した輸入貨物の数量増加や、同ルールを悪用した違法薬物などの不正輸入の可能性が以前から問題視されていた(米国土安全保障長官が繊維業界団体と会合、ブラック)。バイデン前政権は2024年9月に、同ルールを利用する貨物に関する情報収集を強化する措置や、同ルールの適用対象から特定の追加関税の対象品目を除外する措置などを講じる方針を明らかにしていた()。CBPが今回発表した次の2件のブラックジャックディーラー制定案公告(NPRM)はこの方針に基づいている。

(1)CBPが1月13日に発表したNPRM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、デミニミスルールを利用する貨物に関する情報収集の強化を図るもの。具体的には、通関手続きに先立って、通関追跡識別番号(CTIN)、貨物の輸出国、10桁の米国関税分類番号(HTSUSコード)を含めた、貨物の内容物、原産地、送付先に関する情報の申告を義務付ける。最終ブラックジャックディーラーの策定に向け、CBPは3月17日までパブリックコメントを受け付ける。詳細は1月14日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(2)CBPが1月17日に発表したNPRM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、同ルールの適用対象から特定の追加関税の対象品目の除外を図るもの。具体的には、(1)1962年通商拡大法232条、(2)1974年通商法201条、(3)1974年通商法301条に基づいて関税が課される品目(注)を同ルールの対象から除外する。最終ブラックジャックディーラーの策定に向けて、CBPは3月24日までパブリックコメントを受け付ける。詳細は1月21日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

なお、ドナルド・トランプ大統領は1月20日の大統領覚書で、財務長官に対し、同ルールが違法薬物の輸入や関税収入の損失に及ぼす影響を調査するよう指示している()。米国の通商政策に詳しい現地法律事務所は、政権交代前にこれらのブラックジャックディーラー案が発表されたことを踏まえても、「同ルールの改正は幅広い超党派の支持を得ている」として、実現可能性の高さを示唆した。一方、「トランプ政権のスタッフが(CBPなどに)着任し、進行中の取り組みを点検する間、ブラックジャックディーラー策定のプロセスは滞る可能性が高い」として、施行時期の不透明感も指摘している。

(注)米国は、232条に基づいて鉄鋼・アルミ製品にそれぞれ25%・10%の追加関税を課している。また、201条に基づき、ソーラーパネルやポリエステル繊維などに緊急輸入制限措置(セーフガード)を課している。さらに、301条に基づき、中国原産品に対して最大100%の追加関税を課している、なお、アンチダンピング関税(AD)、または補助金相殺関税(CVD)の対象品目は、既に同ルールの対象から除外されている。

(葛西泰介)

(米国)

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