ブラジル中銀、3会合連続で政策金利引き上げ

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年12月20日

ブラジル中央銀行は、12月11日に開催された金融政策委員会(COPOM)で、全会一致で政策金利(Selic)を11.25%から12.25%に引き上げることを決定した。利上げは9月に実施された会合から3回連続。9月の会合での利上げ幅は0.25ポイント、11月会合では0.5ポイントとなっており、12月会合は1.0ポイントと利上げ幅も段階的に拡大している。

COPOMは声明で、利上げの外的要因としてFRBの政策スタンスに関する不確実性が高まっていることを挙げている。内的要因に関しては、経済活動と労働市場の指標の力強さを挙げ、特に第3四半期のGDPで需給ギャップの拡大が示されたこと、国内の財政政策への懸念や、インフレ目標を上回る総合インフレ率とコアインフレ率などを挙げている。

12月6日付の中銀週次レポート「フォーカス」(注)によると、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)上昇率の見通しは、2024年が4.84%、2025年が4.59%となっている。いずれも中央銀行のインフレ目標範囲3%±1.5%(1.5~4.5%)内に収まっていない。COPOMは、今後も予想されるシナリオが確認されれば、今後2回の会合で同規模の利上げを行うことを想定している。

全国工業連盟(CNI)は、今回の利上げに対して「理解不能であり、全く正当化されない」と批判する声明を発表した。CNIは、中央銀行が「第3四半期のGDPで既に確認されている経済活動の減速と、米国など主要国の金利が低下傾向にあることを考慮していない」と主張しており、金利引き上げは投資の減少、ひいては雇用と所得の減少につながるとの見解を示した。

一方、サンパウロ州スーパーマーケット協会(Apas)は、Selicの引き上げは予想されていたことで、目標上限を超えたインフレを抑制するのに役立つだろうと述べている。

(注)フォーカスは、中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を下に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。

(中山貴弘)

(ブラジル)

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