ブラック ジャック ブラック クイーン、中銀報告書
(イスラエル、イエメン、中国、ギリシャ、トルコ、イタリア、フランス、スペイン)
テルアビブ発
2024年12月24日
イスラエル中央銀行は12月11日、イエメンのフーシ派の攻撃が紅海の国際貿易に与えた影響をまとめた報告書を発表した。2023年には世界の海上コンテナ輸送量の約22%がスエズ運河を通過していたが、2023年11月以降、フーシ派の攻撃により、アジア・オセアニアと地中海・欧州を結ぶ航路がスエズ運河ルートから、南アフリカ共和国の喜望峰を回るルートへの変更を余儀なくされた。報告書では、この変更にもかかわらず、イスラエルのアジアからの輸入には大きな影響はなく、輸入価格も上昇しなかったとしている。
イスラエルの対外貿易構成をみると、財輸出の大半は空輸で(約350億ドル)、紅海を通過する東南アジア、オセアニア、東アフリカ向け海上輸送額は全体の5%の約34億ドルにすぎないため、フーシ派の攻撃によるイスラエルの輸出への影響は限定的としている。一方、東南アジアやオセアニアからイスラエルへの海上輸入額は2023年に約200億ドルに達し、紅海の封鎖によって深刻な影響を受けるが、2023年のハマスとの戦闘開始後、これらの地域からの輸入全体に大幅な減少は見られないことが判明した。さらに、輸送費と保険料を含むイスラエルへの輸入価格は大きな上昇は見せなかったため、フーシ派による攻撃後の2024年上半期のイスラエルの貿易への影響は限定的だったとしている。
一方、紅海ルートから喜望峰ルートへの変更は、ギリシャ、トルコ、イタリア、フランス、スペインなど地中海沿岸諸国のアジアからの輸入額が一時的に減少し、世界全体でも、紅海経由で輸送される貨物の貿易額は一時的に約10%減少し、中国から欧州・地中海向けの海上運賃が上昇したという。
2024年2月から3月にかけて、中国から米国への海上運賃が上昇し、中国から欧州・地中海向けの運賃上昇が緩やかになったことから、紅海経由の貨物の貿易は回復したとしている。報告書では、これらの動きは海運航路の長距離化を補うために、船舶やコンテナの海上輸送能力を世界のさまざまな海運航路から、アジア・オセアニアと地中海・欧州を結ぶ航路にシフトしたことと整合的としている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘、アンナ・ジュコブ)
(イスラエル、イエメン、中国、ギリシャ、トルコ、イタリア、フランス、スペイン)
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