河南省で輸送分野の水素燃料電池利用が進む

(中国)

武漢発

2024年12月18日

中国河南省の未勢利源(注1)は12月10日、商用車メーカー宇通の水素燃料電池大型トラック30台を河南省安陽市に導入した。この大型トラックは、河南省の石炭化学企業である利源集団から周辺の鉄鋼メーカーへのコークス輸送に利用される。1ルートの往復走行距離は20~50キロほどで、高効率、グリーン、環境に優しい水素物流輸送システムを構築し、安陽地区における水素燃料電池大型トラックの応用を実証する重要なシナリオを構築するとしている。

今回導入されたのは49トンの水素燃料電池大型トラックで、未勢能源(注2)と宇通が共同で開発した。トラックには未勢利源の120キロワット(kW)商用車用燃料電池エンジンを搭載し、低騒音、低水素消費、500キロ以上の長距離走行を実現したとしている。

中国では燃料電池自動車モデル都市群を選定し、選定された都市を牽引役として燃料電池自動車の利用などを推進している。河南省は2021年12月に5つのモデル都市群の1つとして選定され、安陽市もこのモデル都市群に含まれている(関連ブラック ジャック web)。

また、河南省は2022年8月、河南省水素エネルギー発展中長期計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、計画)を発表している。計画の重点任務の1つとして、輸送分野における水素エネルギー応用のブレークスルーを図るとしている。具体的には、鄭州市、開封市、洛陽市、新郷市、焦作市、安陽市で燃料電池自動車の応用を率先して実証する。この地域では、燃料電池自動車を従来の燃料自動車に代わる優先的な選択肢とするよう奨励し、政府調達の範囲に組み入れ、都市バスや市の作業車の購入に優先的な支援を与える。コールドチェーン物流車両、環境衛生車両、ダンプ・ミキサートラック、大型トラックなどの商用車に焦点を当て、物流園区、主要工業園区、主要企業工場、ごみ搬送、都市建設などの分野における燃料電池車の実証応用を推進するとしている。河南省では、計画の実現に向けた取り組みが着々と進められている。

(注1)未勢利源は、水素エネルギー設備製造などを行う未勢能源(注2)と利源集団による合資企業。

(注2)未勢能源は、2019年に中国自動車大手の長城汽車を傘下に持つ長城集団が設立した水素産業関連企業。

(高橋大輔)

(中国)

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