2023年製車の温室効果ガス排出量、米国の計測史上最も低い値に
(米国)
ニューヨーク発
2024年12月05日
米国環境保護庁(EPA)は11月25日、「2024年自動車トレンドレポート」で、2023年モデル車(Model Year:MY)のライト・デューティー・ビークル(乗用車と小型トラック)からの温室効果ガス(GHG)排出量が、同庁が計測を始めた1975年以降、最も低い値に達したと発表した。
今回報告された結果は、EPAがミシガン州アナーバーにある国立車両・燃料排出研究所や自動車メーカーがEPAの公式手順に従って行ったテスト結果に基づく。GHGの基準策定のデータとして利用されるほか、基準汚染物質や、米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)が管轄する企業平均燃費基準(CAFE)、車両販売の際に公表が義務付けられている「燃費および環境ラベル」の表示用データとしても用いられる。
報告書によると、2023MYの車両1台の二酸化炭素(CO2)平均排出量(注1)は1マイル(約1.6キロ)当たり319グラム(g/mi)と、前年よりも18g/mi減少し、これまでで最も低い値となった。EPAは、排出量の減少にはバッテリー電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)が大きく寄与しており、BEV、PHEVが販売されなかった場合は前年比1.4g/mi減にとどまると分析した。この結果を受け、EPAのマイケル・レーガン長官は「この報告書は、強力で技術的に中立な基準が環境の進歩を支えると同時に、運転手がガソリン代を節約できることを重要なデータで裏付けている。自動車メーカーは、大気の質を改善し、人々の健康や命を守る技術を市場に投入し続けている」と述べた。
一方、各MYごとに定められた基準値に照らすと、2016年以降、2022年を除き、業界全体での未達が続いている(添付資料図参照)。2023MYでは、主要メーカー14社のうち、テスラ、BMW以外は、各社ごとに定められた排出基準を達成しておらず、業界全体では基準値の212g/mi(注2)を3g/mi上回る215g/miとなった。未達分は企業間で取り引きなどができる「クレジット」で補填(ほてん)することが可能だが、業界全体で取引可能なクレジットは目減りする傾向にあり、2023MYは2011MY時点の残高227テラグラム(Tg、注3)の6割弱に当たる123Tgまで減少している。
(注1)平均的なドライバーが遭遇するより広範囲の動作条件(高温および低温、高速、高速加速など)を捉えるため、追加のラボテストで測定したデータを基に算出した排出量。
(注2)実際の車種構成や台数などに基づいて算出されるため、2021年12月に最終規則で定められた基準値(202g/mi)とは異なる(関連ブラック ジャック ディーラー)。
(注3)CO2換算重量。1Tgは10の12乗グラム。
(大原典子)
(米国)
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