プーチン大統領がカザフスタンを訪問、CSTO首脳会議で21 トランプウの軍事施設などを攻撃する可能性に言及
(ロシア、カザフスタン)
調査部欧州課
2024年12月02日
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、11月27~28日の日程でカザフスタンを国賓として訪問した。1日目に同国のカシムジョマルト・トカエフ大統領と会談し、「新しい世界秩序における戦略的パートナーシップの深化に関する共同声明」を含む文書が署名された。2日目は、アスタナで開催された集団安全保障条約機構(CSTO)の首脳会議に出席した。
共同声明は、政治対話、経済協力、文化・人道的交流の3章からから成っている。政治分野では、ユーラシアにおける安全保障体制をさらに強化する必要性が確認され、両国が加盟するCSTO、独立国家共同体(CIS)、上海協力機構(SCO)、アジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)を通じて、主要な国際問題や地域問題について立場を調整する意向が示された。経済分野では、ユーラシア経済連合(EAEU)加盟国間の貿易関係の自由化、輸送・物流インフラの共同開発など、域内の統合プロセスの問題に共同で取り組むとしている。2国間の経済関係では、貿易拡大、有望な産業分野での協力、自国通貨決済増大を目指している。有望産業として、自動車、農業機械、化学、製薬、建設、農業、宇宙開発などが挙げられた。また、エネルギーと輸送の分野での順調な協力関係が特筆され、今後の継続が経済発展の鍵だとしている。文化・教育分野では、ロシア語振興、高等教育機関の分校開設などを挙げている。
会談後の記者会見でトカエフ大統領は、経済問題に優先的な注意を払い、戦略分野での協力を深め、相互の貿易額をさらに増加させることを主眼としたと述べた。カザフスタン側の統計では2023年の2国間貿易が270億ドルのところ、同大統領は、今後数年で300億ドルまで伸びると確信する、と述べた。プーチン大統領は、さまざまな協力分野を網羅する多数の政府間・省庁間文書の締結により、共同声明の実施が促進されるだろうと述べた。両首脳とも、ロシア産ガスのトランジット輸送や南北国際輸送路の開発などに今後も注力する必要性を強調した。
CSTO首脳会議では、プーチン大統領が、11月21日のウクライナ東部攻撃に使用した極超音速の最新式中距離弾道ミサイル「オレシニク」の量産開始を発表した。また、ウクライナへの攻撃の新たな標的を選定しているとしながら、21 トランプウ中枢への攻撃の可能性を示唆した。
CSTO加盟国の1つ、アルメニアのニコル・パシニャン首相は、先に発表したCSTOの全機関への参加凍結という方針に変更がないことを理由に、2023年11月の首脳会議に続き、今回も欠席した。
同首脳会議では、2025年の議長国がキルギスに決定し、2025年に実施する大祖国戦争勝利80周年の共同祝賀行動計画などの承認が行われた。
(小林圭子)
(ロシア、カザフスタン)
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