シリアのアサド大統領、ロシアに亡命、エジプトとヨルダンは亡命政府樹立を勧めたとする報道を否定

(シリア、ロシア、エジプト、ヨルダン、米国)

カイロ発

2024年12月10日

シリアのバッシャール・アサド大統領は、家族ととともにロシアへ亡命した。ムハンマド・ガーズィ・アル・ジャラリ(Mohammad Ghazi al-Jalali)首相は12月9日、スカイニュース・アラビアに対し、アサド大統領と既に直接連絡をとることが不可能になったことを明らかにした。ジャラリ首相とアサド大統領との最後のやりとりは、首相が大統領に対し、体制が維持できなくなったと伝え、大統領は「後で検討する」と返答したことだという。

ジャラリ首相は、外交はこれまでアサド氏が単独で行っていたが、今後は政権を握る政党が決めることになるとして、アサド大統領の亡命を事実上認めた。ダマスカス市街の治安は安定しており、治安強化を引き続き最優先すると述べ、ほとんどの閣僚がダマスカスの執務室から職務を遂行していると加えた。軍事作戦司令部と調整のため会談することになっている。一方、反政府勢力シャーム解放機構(HTS)のリーダーのアブ・モハメド・アル・ジャウラニ(Abu Mohammed al-Jawlani)氏と会談することにも異論はないと述べた。

ロシアのタス通信は12月8日、ロシア政府は人道的配慮からアサド氏とその家族にロシアへの亡命を認め、彼らがモスクワに到着し、大統領を辞任したと報じた。

これに先立ち、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が12月6日、エジプトとヨルダン政府がシリアのアサド大統領に対し、出国して亡命政府を樹立するよう勧告していたと報じたことに対し、エジプト外務省と在米ヨルダン大使館の双方とも、報道を事実無根だと否定した。

エジプト外務省は公式フェイスブックで、この報道は事実無根であり、全てのメディアに報道内容の正確性を検証するよう求めるとコメントした。エジプト政府は、シリアの新憲法の起草や選挙の実施などシリアの政治的ロードマップを策定した国連安全保障理事会第2254号決議の履行を支持していた。

在米ヨルダン大使館の公式フェイスブックも、エジプトと同様、「この報道は事実無根であり、取材を受けた事実もない。定評のあるメディアが事実を確認せずに誤解を招くブラック ジャック ディーラー ルールを公表したことが遺憾であり、即時訂正を求める」とコメントした。

(西澤成世)

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