在欧日系企業、調達多様化と短縮化の動き、販売先は欧州域内が8割超、21 トランプ調査

(欧州)

調査部欧州課

2024年12月27日

21 トランプが12月19日に公表した「」(注1、グリーン・デジタル法規制や高コストに課題、ジェトロブラック)で、サプライチェーンにおける調達の多様化と短縮化の動きが前年と同様に目立つ結果となった。

今後1~2年のサプライチェーン戦略に関して、回答企業の48.3%が「調達の多様化」と回答した。業種別にみると、化学品・石油製品(70.0%)、一般機械(63.2%)、電気・電子製品(58.3%)が上位3位だった(注2)。次いで「サプライチェーンの短縮化・ニアショアリング(生産拠点を消費地の近隣国に移転すること)」の回答割合が37.0%で、電気・電子機器部品(71.4%)、電気・電子機器(54.2%)、食品・農水産加工品(52.9%)などの業種で高かった。なお「サプライチェーンの短縮化・ニアショアリング」は所在地域別では、西欧(35.5%)、中・東欧(43.0%)で、中・東欧で高めとなっている。

部品・原材料の調達先に関する設問では、「所在国」(21.5%)と「EU域内国(所在国除く)」(20.1%)の合計が41.6%で、「日本」(35.8%)を上回った(注3)。現地や近隣諸国からの調達の傾向がうかがえる。「中国」は8.5%、「ASEAN」は7.3%の回答割合だった。

今後の調達方針に関しても、「所在国」での調達は、在EU日系企業全体の18.8%、中・東欧の日系企業では25.8%が「拡大」の方針を示した。「EU域内(所在国を除く)」での調達は、在EU日系企業全体では28.0%が「拡大」、中・東欧の日系企業はさらに高く37.1%だった。

製品の販売先については、欧州圏が8割以上を占めた。この傾向は前年調査と同様で、引き続き欧州域内での販売に重点が置かれていることが明らかになった。在中・東欧日系企業による欧州圏での販売割合は9割を上回る。

将来有望な販売先としてみている国・地域についての設問では、ポーランドが6年連続で首位となり、中・東欧からは、ハンガリー(4位)、チェコ(5位)、ルーマニア(8位)が10位内に入った。中・東欧の国を選んだ理由として、今後も続く日系企業の進出や経済成長に期待する声が多くみられた。

(注1)21 トランプ進出日系企業実態調査(欧州編)は8月27日~9月19日に実施し、西欧14カ国、中・東欧9カ国の日系企業1,324社を対象とした。うち772社から有効回答を得た(有効回答率58.3%)。西欧はドイツ、英国、オランダ、フランス、ベルギー、スペイン、フィンランド、オーストリア、アイルランド、イタリア、スイス、ポルトガル、スウェーデン、デンマークの14カ国、中・東欧はチェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロベニア、ブルガリア、スロバキア、モンテネグロの9カ国。

(注2)回答数が10以上の業種で比較。

(注3)回答企業の金額ベースでの調達割合の単純平均(販売割合も同様)。「所在国・EUを除く欧州」からの調達は2.3%。

(坂本裕司)

(欧州)

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