トルドー政権の支持率低迷、免税措置も評価低く、世論調査
(カナダ)
調査部米州課
2024年12月10日
カナダでは、2025年秋までに総選挙が予定されている。最近の世論調査では、ジャスティン・トルドー首相が率いる与党・自由党の支持率の低迷が続き、年末年始に向けて打ち出した免税策などへの評価も低い。
CBCニュース(12月9日)が発表した各党支持率の各種世論調査の平均値では、野党・保守党(党首:ピエール・ポワリエーブル氏)が42.7%と、自由党(党首:トルドー首相)の21.8%を大きく上回った。新民主党(NDP、19.1%)、ブロック・ケベコワ(8.2%)、緑の党(4.8%)が続いた。
こうした中、カナダ政府は12月14日~2025年2月15日の期限付きで、食品やレストランなど特定の商品の消費に対する連邦物品サービス税(GST)、統一売上税(HST)の免除を打ち出した。
これについて、調査会社レジェ・マーケティングが11~12月に実施した世論調査(注)では、半数(50%)が免税は年末年始の買い物行動に影響を与えないと回答しており、効果への期待は薄い。また、まだ可決されてないが、政府は2023年の収入が15万カナダ・ドル(約1,605万円、Cドル、1Cドル=約107円)未満だった人に250Cドルの小切手を支給するという法案も提出した。世論調査では、7割が免税と合わせてこのような施策は選挙対策にすぎないという厳しい見方を示した。インフレ対策に良いとの評価は21%にとどまった。
どの党首が首相にふさわしいかという問いに対しては、保守党ポワリエーブル氏の支持率が31%と、自由党トルドー氏(15%)を大きく上回る。NDPジャグミート・シン氏(13%)が続く。
トルドー首相率いる自由党は2015年に政権獲得後、2019年の総選挙以降、少数与党にある。2022年3月にNDPの協力を得ることで合意して政権を維持してきたが、NDPが2024年9月にこの合意を破棄したことで、連邦選挙の実施が早まる可能性もあるとみられる。
(注)実施時期は11月29日~12月1日、対象者はカナダの成人1,532人。
(松岡智恵子)
(カナダ)
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