選挙めぐる抗議の長期化、外国企業の事業にも影響
(モザンビーク)
マプト発
2024年12月16日
モザンビークでは、大統領・国会・州議会議員選挙での現政権与党モザンビーク解放戦線(FRELIMO)の選挙不正疑惑をめぐり、ベナンシオ・モンドラーネ大統領候補が主導する抗議活動()が続いている。抗議は10月21日から断続的に続いており、12月11日時点で累計28日となった。抗議に伴い、道路の封鎖による物流の停滞や、デモ隊の一部の暴徒化による安全上の懸念が発生しており、外国企業の活動にも少なからず影響を及ぼしている。
アイルランドの鉱山企業ケンメアー・リソーシズは12月9日付の声明で、同社の事業地であるモザンビーク北部ナンプラ州モマ鉱山では、一部のデモ隊により車両の損壊などが発生したものの、同社施設および従業員への人的被害は発生していないと発表した。同社の事業地をめぐっては、12月5日にSNSなどで群衆が同社の車両を取り囲む様子や、施設への侵入を図る様子が拡散され、施設の閉鎖や人員退避を行ったといううわさも飛び交った。同社は声明で、経営陣および職員の退避は実施していないと述べている。南部マプト州のアルミニウム精錬工場モザールの筆頭株主である、オーストラリア資源大手サウス32は12月10日付の声明で、職員の安全は確認されており、保安に影響する事象は発生しないと述べた。他方、操業においては、アルミニウムの原料輸送が道路封鎖の影響を受け、生産計画全体にも影響が生じていることを認めている。
北部カーボデルガード州で黒鉛採掘事業を実施しているオーストラリア資源大手シラーリソーシズは12月12日、黒鉛鉱山事業の「不可抗力」を宣言した。同宣言によると、2024年9月から住民移転に不満を持つ地元住民の小規模グループによる抗議が発生していた中、選挙関連の抗議活動の波及により規模が拡大し、鉱山操業が停止に追い込まれていた。これにより、米国の国際開発金融公社(DFC)およびエネルギー省(DOE)からの融資に対する債務不履行が発生したことで、不可抗力宣言に至った。DFCとDOEからの融資は総額2億5,200万ドルで、同社は債務不履行について債権者との協議を進めている。
(松永篤)
(モザンビーク)
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