米バージニア州知事、州内「移民聖域都市」への財政支援打ち切る予算案発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年12月20日
米国バージニア州のグレン・ヤンキン知事(共和党)は12月12日、「聖域都市をなくす」予算案を発表した。ヤンキン知事は発表で「バージニア州は移民の聖域ではない」と強調し、州の郡や地方自治体に対して、不法移民を保護するための「聖域都市」と称したり、米国移民税関捜査局(ICE)に協力したりしない郡・自治体への財政支援を打ち切ると述べた。同知事は11月12日、ドナルド・トランプ次期大統領が掲げる不法移民の強制送還を全面的に支持すると発言していた。
今回発表した予算案が成立すれば、同州の郡・自治体が州政府から財政支援を受けるには、地元の警察や保安官、刑務所が犯罪を犯した不法移民を釈放する際、48時間前にICEに通知するなど、ICEによる勾留措置に従うことが義務付けられる。移民政策を研究するシンクタンクのセンター・フォー・イミグレーション・スタディーズによると、バージニア州では現在、95郡中、84郡が移民の「聖域都市」とされている。
幼少期にジャマイカから合法移民として入国した同州のウィンサム・アールシアーズ副知事は12月16日、今回の発表に関して「私と私の父は、米国への入国申請書類を提出した後、入国許可が下りるまで待たなければならなかった。バージニア州はヤンキン知事のリーダーシップの下、断固とした態度で臨む。われわれは、聖域州ではない」と述べた。
2025年1月に発足するトランプ次期政権は、不法移民の強制送還など、強硬な姿勢を示している。11月26日にはトランプ氏のアドバイザーらが不法移民の強制送還に協力しない州に対して、連邦政府の資金を剝奪するか検討中だと報じられた(「ワシントン・ポスト」紙11月26日)。また、トランプ氏が国境管理の総括担当者として指名したトム・ホーマン氏は11月25日、フォックスニュースに出演し、コロラド州デンバー市のマイク・ジョンストン市長(民主党)が移民を大量強制送還から保護すると誓ったことを受け、同市長を刑務所に入れることもいとわないと述べた。
(吉田奈津絵)
(米国)
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