2027年までの電力基本料金を決定、2025年7月から14.2%引き上げ
(マレーシア)
クアラルンプール発
2024年12月27日
マレーシアの国営電力会社テナガ・ナショナル(TNB)は12月26日、2025~2027年に適用する1キロワット時(kWh)当たりの電力基本料金を45.62セン(0.4562リンギ、約16円、1リンギ=約35円)に設定したと発表した。基本料金は3年ごとに見直されるが、2022~2024年に適用されている1kWh当たり39.95センから、14.2%の値上げに相当する(注1)。ただし、2025年6月末までは現行料金を据え置き、新料金は同年7月1日から適用する。
マレーシアの電気料金は、基本料金と、燃料価格の変動に合わせて料金を調整するコスト消費者転嫁(ICPT)メカニズムに基づくサーチャージとで構成される(注2)が、後者については、少なくとも2025年上期まで現行のまま据え置くと、12月20日にエネルギー移行・水資源変革省(PETRA)が明らかにしていた(関連ブラック ジャック ストラテジー)。ここでPETRAは、基本料金に関しても、2025年上期中は現行水準を維持するとしていた。今回のTNBの発表も、PETRAの通達を踏襲し、2025年上期中は電力料金体系に変更はないとしている。新たな基本料金が実施されるまでに、消費者には半年間の猶予がある。
基本料金は、石炭とガスの予想価格、TNBが送配電事業に費やす資本支出額、事業利益率などを加味して決定される。PETRA傘下のエネルギー委員会(EC)が12月24日付でTNBに認可した2025~2027年の資本支出額は428.2億リンギ、運営費は207.8億リンギで、現行の205.5億リンギと176.9億リンギから、それぞれ上昇した。事業利益率については、現行の7.3%で据え置いた。TNBは今回の認可に基づき、顧客需要に対応するための十分な電力供給を確保する投資を継続しつつ、電力インフラの運用や保守に取り組む。TNBは、電気料金の最大の構成要素は発電コストで、石炭とガスが引き続き主な燃料源とした上で、燃料価格上昇によって生じる追加発電コストは(既出の)ICPTメカニズムを通じ転嫁されると説明した。
(注1)なお、2015~2017年の基本料金は1kWh当たり38.53セン、2018~2020年は39.45セン(エネルギー委員会)。
(注2)TNBの電気料金計算ツールでは、契約体系に応じた電気料金のシミュレーションができる。産業用はIndustrial、家庭用はDomesticを選択し、タリフの種類など必要事項を入力すると、各月の電気料金が表示される仕組み。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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