USMCA見直しへ向けて、メキシコ自動車業界が団結
(メキシコ、米国、カナダ)
調査部米州課
2024年12月13日
メキシコ経済省は12月4日付のプレスリリースで、メキシコ自動車工業会(AMIA)およびメキシコ国内に拠点を構える複数の完成車メーカー幹部らとの会談を実施し、同業界の重要性と団結について確認した、と発表した。会談の中では、業界を拡大するための協働と、より強靭な(きょうじん)バリューチェーンを生み出すための戦略策定に関心が寄せられた。また、2026年に予定されている米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しへ向けて、同協定が加盟3カ国にもたらす便益をより大きなものにするため、業界全体が一丸となって取り組む旨が合意された。
会談の発端はトランプ氏の追加関税発言か
これらの内容を踏まえると、今回の会談は、米国のドナルド・トランプ次期大統領がSNS上の投稿で、自身の就任初日(2025年1月20日)にメキシコに対して25%の追加関税を賦課すると示唆したこと(トランプ次期米大統領、ブラック)を受けて開催されたものだったとみられる。会談には、マルセロ・エブラルド・カサウボン経済相、AMIAのオドラシール・バルケラ事務局長に加え、ゼネラルモーターズ(GM)、ステランティス(注)、フォードの米国系3社、さらには、日本のマツダ、ドイツのBMW、メルセデス・ベンツの幹部が参加した。
先述のトランプ氏の発言を受け、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、追加関税の賦課が実現すれば、メキシコ国内で長らく操業する米国系企業をもリスクにさらすことになる、と反論していた()。今回の会談では、正にシェインバウム大統領の同発言に沿うかたちで、米国系企業を含むメキシコ国内の自動車業界の団結が確認されたといえる。
(注)本社は、フィアット・クライスラー(FCA)とプジョー・シトロエン(PSA)の合弁後、オランダに置かれているが、メキシコで生産されている車種は旧クライスラーのブランドであるため、米国系としている。
(佐藤竣平)
(メキシコ、米国、カナダ)
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