欧州産業界、EU・メルコスールFTA交渉合意を歓迎、農業部門は強く反発
(EU、メルコスール、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア)
ブリュッセル発
2024年12月13日
欧州委員会は12月6日、交渉に合意したEU・メルコスール間の自由貿易協定(FTA)(関連ブラック ジャック ゲーム)について、地政学、経済、持続可能性や安全保障分野での協力強化を通じ、両地域に大きな利益をもたらす契機となると述べた(プレスリリース)。
欧州産業界にとって両地域のFTA締結は、最終交渉直前の11月15日にもメルコスール側の団体を含む78団体で早期合意を要請する共同声明を発表するなど、長年の悲願だった。最終合意を受け、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は12月6日、EUは新体制発足(第2次フォン・デア・ライエン体制が発足、2029年までの立法無料)早々に、大きな成果を上げたと歓迎した。世界的に保護主義と地政学リスクが高まる中、EUは自由でルールに基づく貿易を維持する方針を示し、市場の多角化はEU経済の強靭(きょうじん)化や国際的な不確実性の緩和に必要不可欠と評価した(プレスリリース)。
欧州自動車工業会(ACEA)は同日、欧州自動車部門が脱炭素化に向け重大な局面にある中、FTAはメルコスールへの輸出における高い関税率の撤廃と貿易の技術的障壁に対応し、同部門の国際競争力強化に資すると歓迎した(プレスリリース)。欧州化学工業連盟(Cefic)は同日、EU企業にとっては世界最大市場の1つであるメルコスール市場へのアクセスが拡大し、より効果的に国際競争力を高め、経済成長と産業基盤の強化を図ることができると述べた(プレスリリース)。
一方、欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体のCOPA-COGECAは同日、従来からの反対姿勢をあらためて示した。メルコスールの環境、アニマルウェルフェア(動物福祉)、労働や安全基準はEUと同水準ではなく、同地域産の安価な農産品の流入は、EU市場内での公平な競争が担保されないと主張。EUの環境NGOや消費者団体も、農業部門と同様に、持続可能性に関し懸念していると述べた。
また、現地報道によると、EU加盟国では農業部門の反発が強いフランスやポーランドがFTA締結に反対している。
(滝澤祥子)
(EU、メルコスール、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア)
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