トランプ米次期大統領、BRICS諸国に100%の関税賦課を示唆、米ドル依存軽減を牽制
(米国、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦)
ニューヨーク発
2024年12月03日
米国のドナルド・トランプ次期大統領は11月30日、SNSトゥルースソーシャルへの投稿で、BRICS諸国が共通通貨を創設した場合や、米ドルの代替通貨を支援した場合に、各国から米国への輸入に100%の関税を課す意向を示した。
BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)の主要新興国9カ国のグループで(2024年10月31日記事参照)、米ドル依存の軽減に向けた、共通決済システムの構築や共通デジタル通貨の創設などが模索されている(、注)。
トランプ氏は投稿で、「われわれは、これらの国々が新たなBRICS通貨を創設することもなく、強力な米ドルを代替する通貨を支持することもないという確約を求める。さもなければ、100%の関税を課し、素晴らしい米国での販売にさよならを告げることになるだろう」と述べ、BRICS諸国の米ドル依存の軽減に向けた動きを牽制した。なお、投稿では、関税の根拠法や、関税の徴収を開始する時期などの詳細は示されていない。
トランプ氏は大統領選挙戦を通じて、中国からの輸入に60%の追加関税、そのほかの全貿易相手国からの輸入に対する10~20%の関税(ベースライン関税)を課すなどと主張している。直近では11月25日にも、トゥルースソーシャルへの投稿を通じて、メキシコとカナダからの輸入に25%、中国からの輸入に10%の追加関税を就任初日(2025年1月20日)に賦課する意向を示した(トランプ次期米大統領、ブラック)。
(注)ただし、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2024年10月に同国で開催されたBRICS首脳会議において、各国通貨での決済を志向する考えを示すなど、共通通貨の創設に向けた議論に具体的な進展はみられない(BRICS首脳会議、ブラック)。
(葛西泰介)
(米国、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦)
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