欧州産業界、競争力低下に危機感あらわ、EU新体制に迅速な行動要請
(EU)
ブリュッセル発
2024年12月11日
EUでは、欧州議会が11月27日に欧州委員人事案を信任し、12月1日に新体制が始動した(第2次フォン・デア・ライエン体制が発足、2029年までの立法無料)。欧州産業界からは、産業競争力強化に向け、EUに迅速な行動を求める声が相次いだ。
ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は11月27日、新体制発足を歓迎し、欧州経済の再生に集中して取り組むよう要請した。グリーン化を進めながらも競争力を強化するには、EU域外とのエネルギー価格差の縮小や、規制順守に伴う企業の負担軽減、許認可プロセスの迅速化や輸出先・供給元の多角化がカギとなると指摘し、一貫性ある競争戦略を迅速に提案するよう求めた(プレスリリース)。
欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は11月27日、鉄鋼だけでなく、自動車、再生可能エネルギー、バッテリー産業も苦境にあり、EUと加盟国が直ちに対策を講じなければ、欧州の製造業の基盤が失われると訴えた。欧州鉄鋼部門は世界的な過剰生産の影響を受け、生産は縮小傾向にあり、一部の脱炭素化関連事業を停止せざるを得ない危機に陥っている。対応策として、通商防衛措置や炭素国境調整メカニズム(CBAM、注)の活用、鉄スクラップのリサイクルなどの環境が整っていない地域への輸出制限などを主要項目とする行動計画の早期策定を提言した(プレスリリース)。
欧州化学工業連盟(Cefic)は12月1日、高止まりするエネルギー価格や複雑なEUの規制の影響を受け、事業運営だけでなく、欧州グリーン・ディールの目標実現も困難になっているとし、「手遅れになる前に行動を」と訴えた。域内投資を回復させるために、Ceficが2月にとりまとめた産業界からの政策提言「アントワープ宣言」(欧州産業界、カジノ 無料 ゲーム)を考慮することや、新たな重要政策の提案前に現行規制の実施状況やあらゆる政策の影響を慎重に評価することが必要だとした(プレスリリース)。
(注)CBAMの詳細はジェトロ調査レポート(2024年2月)を参照。
(滝澤祥子)
(EU)
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