コロンビア石油公社、中南米最大規模のグリーン水素プラント建設計画を発表

(コロンビア)

調査部米州課

2024年12月11日

コロンビア政府は12月2日付のウェブサイト上でのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、同国石油公社エコペトロール(Ecopetrol)によるグリーン水素プラントの建設計画について明らかにした。同計画は、エコペトロールが北部カリブ海沿岸のカルタヘナに所有する製油所に、約2,850万ドルの投資を実行し、5メガワット(MW)規模の電解槽を新設することで、年間最大800トンのグリーン水素を生産するプラントを建設するというもの。政府は、世界エネルギー機関(IEA)が作成した資料を引用し、同プラントを中南米地域の低排出水素の生産プロジェクトで最大規模のものとして発表している。

このプロジェクトでは、太陽光発電によってグリーン水素の生産が行われ、プラントの稼働開始は2026年上半期と発表されている。生産されたグリーン水素は主には製油所での水素化脱硫などに利用し、年間で最大7,700トンの二酸化炭素(CO2)排出量削減(自動車1,650台の年間排出量に相当)が期待されている。エコペトロールは2022年に自社グループの将来へ向けた事業方針などを示す「変容するエネルギー 2040年戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表しており、その中で2040年に低排出水素の生産量100万トンの目標を掲げている。

過去にトヨタとの共同プロジェクトも実施

エコペトロールのカルタヘナ製油所では、2022年から試験的に電解槽が設置され、グリーン水素のパイロット生産が行われていた。同年3月にはこの動きに合わせて、トヨタ自動車が燃料電池車「MIRAI」をコロンビアへ初めて持ち込み、生産されたグリーン水素を燃料として使用し、当時のイバン・ドゥケ大統領自らMIRAIを運転したことで話題となった(2022年3月25日記事参照)。2022年6月にはエコペトロールと国際協力銀行(JBIC)との間で、水素・アンモニアなどの分野で協業を目的とする覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが締結され、コロンビアで脱炭素社会実現に向けた日本企業の事業機会創出や、ビジネス促進の可能性が示された。

(佐藤竣平)

(コロンビア)

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