大連で「低空経済産業協会」が設立、関連産業チェーンの構築を図る
(中国)
大連発
2024年12月12日
中国・遼寧省大連市で12月3日、「大連市低空経済産業協会」設立大会が開催された。当初の会員企業数は39社。同協会は、低空経済関連産業分野の支援策・業界基準の策定、サプライチェーンの構築、自主イノベーションの創出などを中心に活動するとしており、大連市の低空経済エコシステムの形成や関連する産業の競争力の強化が期待される。
低空経済とは、主に高度1,000メートル以下の低空域で展開される、さまざまな新規ビジネスの総称で、次世代交通の1つともされている。具体的には、配送や農業、映画撮影などでのドローンの活用、電動垂直離着陸機(eVTOL)を使った「空飛ぶタクシー」などの例がある。
「低空経済」は2021年2月に公表された中国の「国家総合立体交通網規画綱要」に初めて盛り込まれて以降、2023年12月の中央経済工作会議では「戦略性新興産業」にバイオや商業用衛星などと並んで盛り込まれ、さらに2024年3月の全国人民代表大会における政府活動報告において積極的に発展させていく旨が明記された。こうした中央の政策を受け、地方政府も競って「低空経済」を政策に取り入れ、各種支援策を打ち出している。
遼寧省では、瀋陽市が2024年4月に「瀋陽市における低空経済の質の高い発展行動計画(2024~2026年)」を策定・公表し、5月20日には「低空経済イノベーション研究センター」が設立された。また、同市では総額20億元(約420億円、1元=約21円)規模の低空経済イノベーション開発基金を設立しており、低空経済関連企業を100社以上育成し、関連産業を30億元規模に育成することを目標としている()。
なお、大連市では11月27日、中国科学院瀋陽自動化研究所が設計した新型産業用複合翼ドローンが、同科学院大連化学物理研究所が開発した超高エネルギー密度リチウムイオン電池を搭載して市内の島しょ空域での試験飛行を成功させるなど、低空経済関連産業チェーンの形成に向けた取り組みが進んでいる。
(李莉)
(中国)
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