世界デジタル競争力ランキング、スイスは2位に上昇、日本は31位
(スイス、日本)
ジュネーブ発
2024年11月21日
スイスの国際経営開発研究所(IMD)は11月14日、8回目となる世界デジタル競争力ランキング2024を発表した。前年3位だったシンガポールが1位となり、続くスイスは前年の5位から2位に上昇した。前回首位だった米国は4位に後退。日本は前年調査から1つ順位を上げ、31位だった(添付資料表参照)。
同ランキングは67カ国・地域を対象に、政府や企業、社会の変革につながるデジタル技術を導入・活用する能力について、(1)知識:人材や教育・訓練、科学に対する取り組み、(2)技術:規制枠組みと資本、技術的な枠組み、(3)将来への準備:デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する社会の準備度合いの3つの要素からランク付けし評価するもの。これらの各要素は3つのサブ要素に分割され、計9つのサブ要素、59の評価基準で構成される。
項目別にみると、スイスは3要素のうち「知識」で4年連続の首位を維持し、「技術」では前年の10位から4位に順位を大幅に上げ、「将来への準備」では前年の6位から5位になった結果、全体順位は前年の5位から2位に躍進した。スイスは9つのサブ要素のうち7つで上位10位以内にランクしている。特に人材(3位)、規制枠組み(2位)、ビジネスにおける俊敏性(7位)のサブ要素で引き続き高いパフォーマンスを発揮したほか、科学的な集中(2位)と技術的枠組み(7位)のサブ要素で顕著な改善を示した。さらに、評価基準単位でみると、ハイテク輸出(9位)、国民と政府間のやり取りを促進するオンラインサービスの活用(27位、前年から11ランク上昇)、サイバーセキュリティー(11位)で大きく前進した。また、主な強みとして、高度外国人材にとっての魅力、信用格付け、知的財産権の効果的な執行、国際経験豊かな上級管理職の存在(全て1位)が挙げられる。その他の強みとしては、留学生の流入(8位)、従業員研修の質と可用性(2位)、安全なインターネットサーバー(5位)、インターネット小売業の規模(9位)がある。
日本は、「知識」は前年から3つ順位を下げて31位、「将来への準備」は6つ順位を下げ、38位だったが、「技術」で6つ順位を上げて26位だった結果、全体順位が31位となった。高等教育での教師1人当たりの学生数(3位)、100人当たりの無線ブロードバンドの普及率(2位)、国民と政府間のやり取りを促進するオンラインサービスの活用(1位)、世界のロボットに占めるシェア(2位)、ソフトウエア違法インストールの割合(2位)では、前回と同様に高評価を得たものの、上級管理職の国際経験(67位)や、デジタルスキルの習得(67位)、企業の機会と脅威に対する対応の速さ(67位)、企業の俊敏性(67位)、ビッグデータや分析の活用(64位)では引き続き低評価だった。
(田中晋)
(スイス、日本)
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