エルドアン大統領、トランプ氏の大統領選勝利を祝福

(トルコ、米国)

イスタンブール発

2024年11月08日

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は11月6日、米国大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利を祝福し、「新たな時代において、トルコと米国の関係が強化され、世界的な危機、特にパレスチナ問題、ロシアとウクライナの戦争が終結することを期待する」と述べた(11月6日付国営アナドル通信)。

トルコでは、エルドアン大統領がトランプ氏を「再選された友人」と呼ぶように両者の関係は親密との評価がある一方で、トランプ氏の前回大統領任期(2017~2021年)初期の対立は深刻だったとし、「リスク」と評する向きもある〔11月6日付現地経済紙「デュンヤ(Dunya)」〕。

トランプ氏はかつて、2017年のトルコによるロシア製地対空ミサイル防衛システムS-400導入決定に対し、同年7月にトルコをF-35計画から外し、同8月に米国の「敵対者に対する制裁措置法」(CAATSA)による制裁に署名した。ほかにも、米国人牧師ブランソン氏の解放を巡る危機(2018年10月に解放)やトルコ国営銀行ハルクバンクによる米国の対イラン制裁違反を巡る裁判(2017年~)などもある。また、2019年にかけてのトルコ軍によるシリア北部侵攻に対して、「私はトルコ経済を破壊するだろう」(2019年10月7日)という言葉を浴びせるなど、メディアは当時、深刻な危機と報道した。

エルドアン大統領とジョー・バイデン現大統領とはほぼ没交渉で、外相レベルでの2国間交渉が中心だった一方、トランプ氏の大統領在任期間中、ワシントンへの国賓訪問を含めてトランプ氏と9回会談するなど、国家元首同士の関係を重視するトルコにとって、重要なパートナーであることに変わりはない。しかし、イスラエルとハマスとの軍事衝突が続く中、同問題で両者が協調できるのか注視されている(11月6日付「bne IntelliNews」)。

(中島敏博)

(トルコ、米国)

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