10月の米小売売上高は前月比0.4%増と2カ月連続増加、自動車やフードサービスが寄与

(米国)

ニューヨーク発

2024年11月18日

米国商務省の速報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(11月15日付)によると、10月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.4%増の7,189億ドル(添付資料表参照)となり、ブルームバーグがまとめた市場予想(0.3%増)をわずかに上回った。なお、8月の売上高は、前月比0.1%増から0.1%減と下方修正された一方で、9月は同0.4%増(速報値、2024年10月18日記事参照)から0.8%増に上方修正された。

自動車・同部品、フードサービスなどが押し上げ要因に

業種別にみると、最も押し上げに寄与したのが自動車・同部品で前月比1.6%増の1,363億ドル(寄与度:プラス0.30ポイント)となり、自動車の販売台数は直近3カ月で最も好調な伸びになった。10月上旬に米国南東部を直撃した大型ハリケーン「ミルトン」の影響で自動車需要が増加したことや、これに伴って中古車価格の下落幅が縮小したこと(関連ブラック ジャック トランプ)などが影響した可能性がある。自動車・同部品を除く売上高は、前月比0.1%増で内容はまちまちだった。フードサービスは0.7%増の973億ドル(寄与度:0.09ポイント)、そのほかでは無店舗小売りは0.3%増の1,245億ドル(0.05ポイント)が増加に寄与した。年末商戦の前倒しが進んでおり、小売各社では大型セールや値下げを実施したことが消費需要を促した可能性がある。

調査会社グローバルデータのマネジングディレクター、ニール・サンダース氏は「消費者はそれなりに金融資産を持っているが、現在の経済環境下では依然として慎重で、消費の口実を必要としている」と述べ、「消費者が消費予定金額を増やそうとしているため、買い控えやお買い得品を探して買うなどの対処行動が見られる」と指摘した。また、米金融機関ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、ティム・クインラン氏は「現況から、小売業者にとってまずまずの年末商戦を予想しているが、年間小売売上高の伸びは、依然としてパンデミック前以来最も遅いペースになる可能性が高く、新年の消費見通しについては引き続き注意が必要」との見方を示した(「リテールダイブ」11月15日)。

消費者マインドが示す状況は改善しており、民間調査会社コンファレンスボードが10月29日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした10月の消費者信頼感指数は108.7(9月:99.2)と9.5ポイント上昇し、2021年3月以来の強い伸びを記録した。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数は138.0(9月:123.8)に、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は89.1(9月:82.8)と、それぞれ大幅な上昇になった(添付資料図参照)。

同社のチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「10月の雇用状況に対する消費者の見方は、ここ数カ月の低迷を経て回復しており、これは労働市場データの改善を反映している可能性がある」とし、「9月と比べ、消費者は将来の景況感についてかなり楽観的になり、将来の収入についても前向きな姿勢を維持している」と述べた。なお、記述式の回答では、11月5日の大統領選挙を含む政治が信頼感に影響を与える要因になったと答えた消費者は、過去2回の大統領選前とほぼ変わらなかった。

(樫葉さくら)

(米国)

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