ボツワナで野党が圧勝、独立以来58年で初の政権交代

(ボツワナ)

ヨハネスブルク発

2024年11月26日

ボツワナの総選挙が10月30日に行われた。ドゥマ・ギデオン・ボコ(Duma Gideon Boko)氏(54歳)が率いる野党「民主改革のためのアンブレラ(UDC)」が圧勝し、初の政権交代となった。ボツワナ独立選挙管理委員会(IEC)の発表によると、UDCはボツワナ議会の選出議席61のうち過半数の36議席を獲得し、1966年の独立以来58年間、同国を統治してきたモクウェツィ・マシシ大統領率いるボツワナ民主党(BDP)を大差で破った。

BDPは、UDC、15議席のボツワナ議会党(BCP)、5議席のボツワナ愛国戦線(BPF)に次ぐわずか4議席しか獲得できず、第4党に転落した。1議席は無所属候補が獲得した。マシシ前大統領は選挙結果を受け入れ、敗北を認めた。これにより、マシシ前大統領は迅速かつ円滑に政権を移譲し、ボコ氏は11月8日、ボツワナの第6代大統領に就任した。円滑な政権移譲はボツワナの強固な民主主義体制を示すものと評価されている。

UDCの圧勝は、ボツワナの経済状況に対する不満の高まりが背景にある。財政規律の不備とダイヤモンド市場の急激な落ち込みが重なり、ボツワナの2024年のGDP成長率は2023年の2.7%から1.0%に低下、失業率は2023年第3四半期(7~9月)時点で25.9%の高水準に達し、特に若者の失業率は34.4%と推定されるとIMFは報告している。

そうした中での政権交代、ボコ新政権の発足につながったが、これらの課題を短期的に解決する即効薬はなさそうだ。新政権は直面する諸問題に向き合う難しい船出を迫られる。従って、新政権が前政権とは劇的に異なる政策を導入するとする論調は見られない。UDC自体も急進的な組織ではなく、経済成長に向けては投資家にとってフレンドリーな環境を維持するとの方針を示している。報道によると、懸案となっているデビアス社とのダイヤモンド販売権交渉についても、ボコ新大統領は「まずは交渉する(話しをする)ことだ」と述べ、対話することの重要性を強調している。こうした姿勢は、政府による一方的措置を懸念していた投資家には一定の安心感を与えているもようだ。

(トラスト・ムブントゥガイ、的場真太郎)

(ボツワナ)

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