2025年大統領府年次プログラムはGXとDXを強調
(トルコ)
イスタンブール発
2024年11月20日
トルコ大統領府は10月30日、「2025年大統領府年次プログラム」を発表した。同プログラムによると、2025年のトルコ経済は、持続可能で均衡のとれた経済成長の確立を優先するアプローチを続け、需要サイドのインフレ圧力を排除することで、4.0%の成長を予想している。同プログラムは、マクロ経済・金融・財政政策、産業政策、社会政策、災害および環境対策、民主的な政治の5分野からなる。
マクロ経済においては、「安定した成長、力強い経済」に向け、経済の安定的かつ健全な構造を維持しながら、力強く包括的で雇用を支援する成長を確保するとした。そして、マクロ経済のバランスを継続的に維持し、金融、財政、所得政策を連携して実施することを目的としている。インフレに関しては、金融・財政政策手段を効果的に活用し、断固たる決意を持ってインフレと闘い続けることで、中期的にインフレ率を1桁に低下させ、物価の安定を確保するとした。また金融部門においては、デジタル金融分野での競争力が重視されている。
産業政策に関しては、「グリーントランスフォーメーション(GX)およびデジタルトランスフォーメーション(DX)による競争力のある生産」が主要課題に置かれた。製造業では化学品、医薬品・医療機器、電子機器、機械、電気機器、自動車、鉄道システム・同車両が重点セクターに、優先開発分野として、農業・食品、エネルギー、防衛産業、観光が選択されている。
自動車部門に関しては、「グローバルモビリティビジョン」の枠組みの中で、GXとDXのプロセスに適応し、設計から生産までのすべての段階での国内供給と技術開発を実現し、付加価値とブランド力を高め、国際的なシェアを高めることが目標とされている。具体的な施策は、次のとおり。
- 自動運転/コネクテッド車両との安全な通信に必要なインフラ設置
- 水素燃料電池、同エンジンなど水素技術への投資と研究開発
- 電気自動車(EV)用充電インフラ設置のロードマップの策定と国家補助金の創設
- 国産EVバスの生産において重要部品の国内生産や生産工程への中小企業の参画を確保、エコシステムを形成
そのほか、「有能な人材、強固な家族、健全な社会」「災害に強い居住空間、持続可能な環境」「正義に基づく民主的なグッドガバナンス」が軸とされる。
(中島敏博)
(トルコ)
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