輸入に係るパイス税の前払い義務を廃止
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2024年11月29日
アルゼンチン徴税・税関管理庁(ARCA)は11月26日、一般決議5604/2024号を公布し、「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税」(通称:パイス税)の前払い義務を廃止した。
パイス税は、外貨の購入に対して課税するもので、2019年12月に発足したアルベルト・フェルナンデス政権が導入したものだ。当初は、居住者による貯金や、国外でのクレジットカード・デビットカードを使った買い物、国際航空券の購入などを目的とした外貨の購入に対して課税していたが、2023年に公布した政令377号により、財、サービスの輸入代金の支払いに係る外貨購入にも課税するようになった(添付資料表参照)。
同政令では同時に、財の輸入に係るパイス税について、FOB建て輸入価格に基づいて算出した税額の95%相当額の前払いを義務付けた。政令を導入した2023年7月24日時点では、アルゼンチン輸入システム(SIRA)と輸入ライセンス制度によって厳しい輸入規制が導入されていたため、多くの場合には、輸入代金の支払いが可能になるまでに通関から180暦日、長ければ360暦日待つ必要があった。パイス税の徴収を輸入代金の支払い時まで待つと相当な時間を要することから、当時の政府は、輸入代金の支払いに係るパイス税の前払いを求めた。その結果、2023年8月の税収に占めるパイス税の割合は5.2%となり、7月の1.8%から急増した。
パイス税は2024年12月22日をもって廃止される予定だが、複数の輸入業者によると、9月3日にパイス税の税率が17.5%から7.5%に10ポイント引き下げられた結果、前払いしたパイス税に過払いが生じているという。現時点では、過払い分の還付の仕組みは整備されていないもようだが、11月26日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)は、2025年中に還付を行うことをARCAが約束したとしている。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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