G20リオ首脳会合、飢餓対策と超富裕層への課税強化の協力で合意
(ブラジル、アルゼンチン、世界)
サンパウロ発
2024年11月22日
G20首脳会合〔G20(金融世界経済に関する首脳会合)〕が11月18~19日に、ブラジルのリオデジャネイロ市で開催された。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を除くG20メンバーの各国首脳が参加し(注1)、サミット初日の18日には、全メンバー国が合意に達した「G20リオデジャネイロ首脳宣言」が公表された。
G20では、議長国を務めたブラジルの後押しで、飢餓対策が主要議題に位置づけられた。飢餓撲滅のための資金動員や知識共有を目指す「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」(注2)が発足し、首脳宣言では、このプログラムへの支持が表明された。また、世界の格差是正に向けた「超富裕層」への課税強化について首脳宣言では、「われわれは、(超富裕層の)個人が効果的に課税されることを確保するために、協力して取り組むことを目指す。協力には、潜在的に有害な税の慣行への対処を含めた、ベストプラクティスの交換、租税原則に関する議論の奨励、租税回避防止メカニズムの考案などが含まれうる」と言及した。さらに、持続可能な発展やエネルギー移行への支援、国際連合安全保障理事会改革を含むグローバル・ガバナンス改革を求める項目も盛り込まれた。
ウクライナ問題について首脳宣言では、「われわれは、国家間の平和的かつ友好的な善隣関係の推進のため、国連憲章の全ての目的および原則を堅持し、包括的で、公正かつ恒久的な平和を支持する全ての関連する建設的なイニシアチブを歓迎する」と述べ、ロシアの名指しは避けられた。ガザ問題については、「われわれは、パレスチナ人の自決権を確認し、国際法および関連する国連決議にのっとり、安全で承認された国境内でイスラエルとパレスチナが平和裏に共存する二国家解決というビジョンに対する揺るぎないコミットメントを再確認する。われわれは、国連安保理決議第2735号に沿ったガザ地区における、およびブルーラインの両側で一般市民が安全に自宅に戻ることを可能にするレバノンにおける包括的な停戦を支持する」という表現が採用された。
なお、アルゼンチン大統領府の11月18日付リリースによると、ハビエル・ミレイ大統領は話し合いの行き詰まりを防ぐために首脳宣言にはサインしたが、宣言のいくつかの部分に対して同意しないことを表明した。ミレイ大統領は、首脳宣言に盛り込まれた飢餓や貧困への取り組みにおいて政府の介入が大きすぎると考えており、同大統領府のリリースでは、「ミレイ大統領の立場は明確だ。飢餓と戦い、貧困を撲滅したいのであれば、政府の介入をできる限り削減することが必要だ。経済活動を規制緩和し、市場や貿易を自由化し、財とサービスの自由な取引が繁栄をもたらすようにしなければならない」と記載されている。
(注1)プーチン大統領の代理でセルゲイ・ラブロフ外相が参加した。
(注2)詳細は未定だが、148の国・国際機関・金融機関などが参加に名乗りを上げている。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル、アルゼンチン、世界)
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