欧州委と消費者当局、アップルに対し地理的ブロック行為の停止を要請

(EU)

調査部欧州課

2024年11月14日

各国消費者当局からなる消費者保護協力(CPC)ネットワークと欧州委員会は11月12日、米国アップルのメディアサービス(App Store、ミュージック、iTunes Store、書籍など)において、禁止されている地理的ブロック行為(ジオブロックキング行為)に該当する可能性があるとアップルに通告した。同ネットワークはアップルに対し、EUのアンチジオブロッキング・ルールに合わせるよう要請した。

CPCネットワークは、アップルのメディアサービスには多数の制限があり、居住地に基づいて欧州の消費者を不法に差別しているとする。具体的には、次のとおり。

  • オンラインアクセス:EUを含む欧州経済領域(EEA、注)の国ごとに異なるインターフェイスがあり、これらのサービスアプリでは、消費者はアップル・アカウントを登録した国向けに作られたインターフェイスにのみのアクセスが可能。
  • 支払い方法:消費者はアップル・アカウントを登録した国で発行された支払い手段(クレジット/デビットカードなど)のみの使用が可能。
  • ダウンロード:消費者が登録した以外のEEAの国のバージョンにアクセスすることを許可していないため、他の国で提供されているアプリのダウンロードが不可能。

CPCネットワークが、アップルが違反しているとする法的義務は、ジオブロッキング規則とサービス指令だ。ジオブロッキング規則では、EUの顧客が異なる加盟国にある事業者から商品やサービスを購入したい場合に、国籍、居住地、または事業者の所在地に基づいて不当に差別することを禁止している。また、サービス指令では、客観的な基準によって直接正当化される場合を除き、サービスへのアクセスの一般条件にサービス受信者の国籍や居住地に関連する差別的な規定を含まないことを要求している。

現在、アップルには、ジオブロックキングに対しどのように対処するかを提案するまでに1カ月の猶予が与えられている。アップルの返答次第では、CPCネットワークは同社との対話に入る可能性がある。

なお、アップルがCPCネットワークによる要請に対処できない場合、各国当局は強制力のある措置を講じることが可能だ。

(注)EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。

(坂本裕司)

(EU)

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