アルバニージー首相、国内初の集光型太陽熱利用施設の設置へ支援
(オーストラリア)
シドニー発
2024年11月11日
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は10月29日、国内初の商用の集光型太陽熱利用(Concentrating solar thermal: CST)プラント〔プロジェクトの金額3,930万オーストラリア・ドル(約39億3,000万円、豪ドル、1豪ドル=約100円)〕の設置に対して、1,720万豪ドル支援を行うことを発表した。アルバニージー首相は国内のイノベーションと雇用の創出に対して投資を行い、国内の新産業を支援する「フューチャー・メード・イン・オーストラリア(関連ブラック ジャック ディーラー)」を実現するもの、と説明した。
同プラントを設置するのは、ペットフード企業マースペットケアで、同社の最大の製造拠点であるビクトリア州ウォドンガ市にあるペットフードの製造施設に18メガワット(MW)の熱利用プラントを設ける。資金支援は連邦政府機関のオーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)が行う。プラントは10月に建設を開始しており、2026年に稼働予定だ。
連邦政府の発表によれば、CST(注)は発電用の技術として広く知られているが、産業向け熱源としての利用は新しいという。また、ARENAによると、産業プロセス向け太陽熱利用プラント導入事例として、世界で6番目に大きいものとなる。プラントの設置により、ペットフードの製造用に最大10時間の熱エネルギーの供給が可能となり、施設のガス使用量を50%削減(年間2,000世帯分のガス使用量に相当)できる。従来はガスを用いて熱源を生成していたが、同プラントの導入により再生可能エネルギーへ置き換わる。現在、同国内において、産業向け熱源の利用は、年間エネルギー利用の20%以上を占めているが、この分野の脱炭素化は国内でも世界でも5%以下しか進んでいない現状となっている。
(注)CSTは、平面鏡で太陽光を集め蒸気エネルギーを生成する。その後、圧縮した蒸気の状態で貯蔵し、その蒸気エネルギーを製造工程で使用する。
(青島春枝)
(オーストラリア)
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