サウジアラビア政府首脳がトランプ氏を祝福
(サウジアラビア、米国)
リヤド発
2024年11月08日
米国大統領選挙の結果を受け、サウジアラビアのサルマン・ビン・アブドゥルアジーズ国王は11月6日、勝利したドナルド・トランプ候補に祝電を送った。国王はトランプ氏の今後の成功、米国国民のさらなる進歩と繁栄を祈念するとともに、サウジアラビア、米国両国の友好国としての歴史的な強い絆を称賛し、すべての分野でこの絆をさらに強化することが両国間の共通の願いであることを強調した。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相も6日、トランプ氏と電話で会談し、大統領選挙での勝利を祝福した。ムハンマド氏は、サウジアラビアと米国の長年にわたる戦略的・歴史的な結びつきを強化することへの自国の熱意を表明し、次期政権下で友好国である米国国民がさらなる発展と繁栄を実現することを祈念した。これを受け、トランプ氏は、皇太子の祝辞と希望に感謝の意を表した。
国内主要紙はトランプ氏の勝利が自国に与える影響について踏み込んだ報道をしていないものの、国内ビジネス関係者からは選挙結果を好意的に捉える声が聞かれる。いずれの関係者も、同氏が前回大統領を務めた期間に両国関係が良好だったことを理由としてあげる。
サウジアラビア政府はここ数年にわたり、米国に対して軍事技術供与を含む安全保障協定と原子力技術協力を要望しており、2024年8月には米国議会が攻撃的武器売却禁止措置の解除を決定したばかりだ。当地の大手コンサルタントで防衛分野を扱う専門家は「イスラエルとの対話次第では、交渉が進展する可能性がある」と、今後の協議の進展に期待を寄せる。
一方、トランプ氏が標榜(ひょうぼう)する自国重視の通商政策とエネルギー政策による、国内経済への負の影響を懸念する企業関係者も存在する。「サウジアラビアは自国通貨リヤルを米国ドルペッグしている上、原油価格の変動の影響を受けやすい。世界的に金融機関がリスクオフを選好すると、国内の資金需要に大きな影響を与えかねない」(当地大手VC関係者)と懸念を示す。
(秋山士郎)
(サウジアラビア、米国)
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