プーチン大統領、今後の米ロ関係は「米国次第」

(ロシア、米国、ウクライナ)

調査部欧州課

2024年11月15日

米国大統領領選挙の結果を受け、ロシア政府関係者からはトランプ次期政権の出方を見守る発言が相次いだ。ウラジーミル・プーチン大統領は、11月7日にロシア南部の都市ソチで開催された世界の有識者とのディスカッションの場であるワルダイ会議の中で、「米国との関係再構築に対してロシアはオープンだ。ロシアの側から米国との関係を棄損したことはなく、制裁を科したこともない」と述べ、ボールは米国側にあるとの考えを示した。ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、「ロシアはこれまで米国近隣で紛争をたきつけることはしていない」として、トランプ次期政権がこれまでの米国のウクライナ支援を見直すことへの期待感を示した。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は「トランプ氏の(ウクライナでの紛争を)激化させないとの発言は大きな進歩」としつつ、「それがどのようの行動で裏付けられるか」に注目しているとコメントした(ロシア新聞11月6日)。

トランプ新政権の経済政策に関しては、米中貿易摩擦の行方に関心が集まっている。高等経済学院中国・現代アジア研究所のアレクサンドル・ルキン研究主幹は、中国製品に対する関税や中国ハイテク製品輸入禁止措置の導入は中国側の報復措置をもたらし、米国経済に悪影響を及ぼすとみている(独立新聞11月10日)。米中貿易戦争がロシア経済にとってプラスになることはない、との指摘もある。中国の生産量が縮小し、原材料の需要が減少する可能性があるという声も出ている(コメルサントFM11月7日)。

対ロシア経済制裁の行方については、議会の承認がないと変更できない措置が多いため、政権が変わっても緩和は見込めないとする見方が主流だ(ノーボスチ通信11月11日)。ただし一部には、米ロ関係修復の手段の1つとして、米国側が制裁緩和に向けて動くのではないかとの期待を示す向きもある(ベドモスチ11月11日)。

(欧州課)

(ロシア、米国、ウクライナ)

ビジネス短信 ae1601bbbd445947