尹大統領がトランプ氏へ祝意、韓米関係維持に向けた準備急ぐ

(韓国、米国)

ソウル発

2024年11月12日

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は11月7日、米国大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ前大統領と電話会談を行った。尹大統領はトランプ氏に祝意を示すとともに、両者は近いうちに対面することで合意した。通信社の聯合ニュース(11月7日)は、大統領府国家安全保障室によるブリーフィング内容として、以上のように報じた。同報道では、電話会談は12分間行われ、「韓米日協力や韓米同盟、北朝鮮のロシア派兵などについて、意見を交わした。韓米が今後、インド太平洋地域や朝鮮半島、ひいては世界レベルで共同のリーダーシップを構築していくことで一致した」と伝えた。

トランプ氏が勝利したことで、外交や経済、安全保障などさまざまな場面で、韓国に対して大きな影響が及ぶことが想定され、韓国のメディア各社、経済団体などからは、準備を急ぐよう呼びかける記事や声明が発出された。

例えば、「毎日経済」(11月6日)は社説で「韓国はトランプ氏の『米国優先主義』に先制的に対応しなければならない。今後、トランプ氏は中国に対する圧力を強化し、韓国に対しても、対中圧力への参加を求めるに違いない。そうなれば、韓国の主要輸出先である中国との関係が悪化する可能性がある」と伝えた。「朝鮮日報」(11月7日)も社説で「トランプ氏は、米国内に半導体や電気自動車(EV)、バッテリー工場を建設する外国企業への補助金などを廃止すると公言している。サムスン電子やSKハイニックス、LGエナジーソリューションなどの半導体・バッテリー企業は、米国が補助金を約束したから米国に工場を建設しているのに、トランプ氏がそれを廃止すれば、詐欺に遭うようなものだ」と懸念を示した。

主要経済団体の韓国経済人協会は「世界的な国家産業政策と保護主義的な通商基調が広がる中、韓国のような輸出比率が高い国の間での競争がさらに激化することが予想される。2期目のトランプ政権の発足による新たな変化の中で、韓国企業の負担を最小限に抑え、機会を最大限に活用できる足場を築くために、政府と民間がより精巧な官民協力体制でともに努力していかなければならない」と述べ、早急な対策が重要だと強調した。

また、通商や経済の面での影響を不安視する内容のほか、米国の対北朝鮮政策や防衛費負担金の動向に注視する内容も目立った。

なお、韓国政府も11月7日早朝には経済関係長官会議兼対外経済長官会議を開き、金融・為替市場、通商、産業という特に影響が大きい3つの分野に関する会議体を稼働させることを決めた。

(橋爪直輝)

(韓国、米国)

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