利便性高まるインド南部カマラジャ港、日系企業の利用を歓迎

(インド)

チェンナイ発

2024年11月29日

インド南部タミル・ナドゥ州チェンナイの北20キロに位置するカマラジャ(エンノール)港の利便性が高まり、注目度が高まっている。

カマラジャ港は現在、コンテナ船、RORO船、石炭・LNG(液化天然ガス)運搬船などの接岸が可能だ。2024年に入り、自動車専用のRORO船が接岸するバースが新たに追加され、合計2バースの利用が可能となった。新興財閥アダニ・グループがコンテナターミナルを運営しており、長さ400メートルの埠頭(ふとう)にガントリークレーン4基が設置されている。今後、同グループはさらに長さ390メートルのコンテナターミナルを建設する計画だ。

写真 アダニ・グループが運営するコンテナターミナル(ブラック ジャック 勝率撮影)

アダニ・グループが運営するコンテナターミナル(ジェトロ撮影)

カマラジャ港を使う日系企業は、主に完成車の輸出港として活用しており、RORO船を利用して、インドに工場を構える日系・欧米系の自動車・トラック・建設機械メーカーが、同港から車両を輸出している。

写真 輸出を待つ完成車が並ぶヤード(ブラック ジャック 勝率撮影)

輸出を待つ完成車が並ぶヤード(ジェトロ撮影)

カマラジャ港を運営するカマラジャ・ポートの総務部長G・M・バラン氏は、同港は顧客の要望にしっかり対応してきており、利用している日本企業からは高い信頼を得ている、と述べた(11月25日ヒアリング)。また、現在、カマラジャ港で運用されているのは8埠頭で、建設中が5埠頭、計画中が9埠頭あり、今後、埠頭の建設への参画や石油化学、薬品、物流拠点として、日系企業の進出にも期待を示した。カマラジャ港の取扱量は貨物で2012/2013年度の1,789万トンから2023/2024 年度の4,528万トンに11年間で2.5倍、コンテナ取扱量は2017/2018年度の2,682TEU(20フィートコンテナ換算)から2023/2024 年度の67万1,393TEUに6年間で250倍に拡大している(添付資料表参照)。

チェンナイ周辺には、チェンナイ港、カマラジャ港、カトゥパリ港の3港があり、チェンナイの北に隣接するアンドラ・プラデシュ州のクリシュナパトナム港を加えると、4港が利用可能だ。チェンナイ港は旧市街中心部に近く、交通渋滞などからアクセスに課題を抱え港湾機能の拡大に限界がある一方、カマラジャ港は、前述の埠頭の建設計画に加え、日本の円借款によるアクセス道路の完成が2026年に予定されるなど、利便性の向上が見込まれている。

(白石薫)

(インド)

ビジネス短信 8a36c6e95c63c896