モーリシャス総選挙で野党圧勝、ラングーラム氏が首相に復帰へ
(モーリシャス)
ヨハネスブルク発
2024年11月26日
インド洋の島国モーリシャスで11月10日に行われた国民議会選挙で、77歳の政治家ナビン・ラングーラム氏が率いる野党連合の変革同盟(ADC、Alliance du Changement)が全62議席のうち60議席を獲得して圧勝した。ロドリゲス島(注)に割り当てられている残りの2議席は、ロドリゲス人民組織(OPR、Organisation du Peuple de Rodrigues)が獲得した。国民議会は70議席で構成されるが、うち62議席は選挙で選ばれ、残りの8議席は各コミュニティーと政党の公正かつ適切な代表者を議会に送るために配分され、選挙で選ばれていない政党の候補者に割り当てられる。
今回で、ラングーラム氏は4期目の首相に復帰することになる。同氏は過去、1995年から2000年と2005年から2014年(途中、2010年に再任)に首相を務めていた。一方、プラビン・ジャグナット首相率いる与党連合は62議席のうち1議席も獲得できない大敗だった。ジャグナット氏は父親から政権移譲を受けるかたちで2017年に首相に就任し、2023年にはGDP成長率7%を実現したが、物価上昇も成長率と同等以上に高止まりしており、国民の不満が高まっていた。また、公人同士の会話がネット上に流出したことを受け、「国家安全保障上の懸念がある」としてソーシャルメディアを選挙翌日まで遮断したことも、国民の不評を買ったようだ。
アフリカ連合選挙監視団(AUEOM)によると、人口126万人の国で、選挙に登録した有権者は100万人強だった。選挙は公正、平和裏に行われたとの評価を得るとともに、ジャグナット首相が選挙結果を直ちに受け入れたことで、モーリシャスは民主主義の成熟と安定性を示したかたちだ。生活費高騰への対処が有権者の最大関心事である中、ラングーラム氏とその連合は年金の増額や、無料の交通機関とインターネットサービスの導入、燃料価格の引き下げに取り組むと述べている。
(注)Rodrigues Island:インド洋のモーリシャス島から東に位置するモーリシャス領の離島
(トラスト・ムブントゥガイ、的場真太郎)
(モーリシャス)
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