英国、COP29で新たな排出削減目標発表、洋上風力のサプライチェーン投資支援も

(英国、アゼルバイジャン、世界)

ロンドン発

2024年11月29日

アゼルバイジャンのバクーで開催された国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に合わせ、英国政府はさまざまな取り組みを打ち出している。キア・スターマー首相は11月12日に演説を行い、2035年の温室効果ガス(GHG)削減目標の「国が決定する貢献(NDC)」(注1)として、GHGを1990年比で最低でも81%削減することを発表した。各国にも野心的な目標の達成に向けて取り組むよう求めた。なお、英国は2021年に、2035年の排出削減目標として1990年比で78%削減することを発表していた(注2、関連ブラック クイーン ブラック)。

スターマー首相はさらに、クリーン電力同盟(Clean Power Alliance)の創設や、気候投資ファンド・資本市場メカニズム(CCMM)による債券発行プログラムのロンドン証券取引所(LSE)への上場についても言及した。うちクリーン電力同盟については、19日にブラジルでのG20の場で公式に創設を発表した。英国やブラジル、フランス、ドイツなど12カ国とアフリカ連合(AU)が参画するほか、EUと米国がパートナーとなり、再生可能エネルギー導入やエネルギー効率の向上などに取り組む。解決すべき課題の1つとしてファイナンスを挙げており、各国の投資プラットフォームの構築支援や、クリーンファイナンスの流入を促進するために必要な支援を提供するとしている。

国内向けの施策として、再エネ支援スキームの差額決済契約(Contracts for Difference:CfD)の第7回オークションで、洋上風力関連のサプライチェーンへの投資を行う企業向けに追加支援を提供する「クリーン産業ボーナス」を導入することを発表している(英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

合意内容には満足せずとも一定の評価

エド・ミリバンド・エネルギー安全保障・ネットゼロ相はCOP29閉幕後の25日、自身のX(旧Twitter)で、合意内容について「われわれが求めた全てを達成してはいない」としながらも、「重要な局面での進展だ」と投稿した。

(注1)Nationally Determined Contribution。パリ協定締約国はNDCとして、気候変動対策を実施しなかった場合のBAU(Business As Usual)シナリオと比べたGHG削減目標を設定し、5年ごとに国連に報告することとなっている。

(注2)2021年に発表した目標には、国際航空や国際海運部門の排出量も含まれている一方、今回発表したNDCには、両部門の排出量は含まれていない。

(山田恭之)

(英国、アゼルバイジャン、世界)

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