デリー首都圏の大気汚染対策、適用措置「ステージ4」に緊急引き上げ

(インド)

ニューデリー発

2024年11月26日

インドのデリー首都圏(NCR)と周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局(CAQM)は11月17日、デリーの空気質指数(AQI)の悪化に伴い、「行動計画(GRAP、2024年09月改定)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で最も深刻なステージ4(AQI450超)の各種措置を翌18日午前8時から適用する通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。CAQMは15日からのステージ3(AQI401~450)の適用を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますばかりだったが、AQIの急上昇を受けて短期間で対策強化に踏み切った。

ステージ2(AQI301~400)の各種措置(2024年10月29日記事参照)に加え、現在課されている主な措置は次のとおり。

〇ステージ3(AQI401~450)の措置(ステージ4でも適用)

  • デリー準州内とハリヤナ州グルグラム(旧グルガオン)を含む特定地区で、対象車両(注1)の走行規制(注2):中型貨物車のデリー準州内での走行禁止(注1)
  • 建設工事の停止(公共施設、医療施設の建設工事を除く)
  • デリー準州内で砕石や鉱業関連事業の停止

〇ステージ4(AQI450超)の措置

  • トラック(ガス・電動車両以外)のデリー準州へのトラックの入境禁止(注3)
  • デリー準州以外で登録された小型商用車の同州への入境禁止(注3)
  • 中型・大型商用車(ディーゼル車両)のデリー準州内での通行禁止(注3)
  • 学校でオンライン授業への移行(注2)
  • 公的機関、地方自治体、民間企業の従業員のうち50%の人員を在宅勤務へ移行(注2)
  • そのほか、教育機関、商業活動の閉鎖、車両の走行許可発出など緊急的追加措置も可能

今回の措置による通行車両の規制や建設工事の中断は、同地域の経済や日本企業の活動に大きな影響与えている。現地報道では、「人の往来の抑制や物流混乱により、NCRの商業活動には20%程度の損害が出るだろう」との全インド貿易関係者連合(CAIT:The Confederation of All India Traders)会長の発言が紹介されている(11月19日「ビジネス・スタンダード」紙)。

(注1)走行規制対象となる車両は、古い排ガス規制基準を基にしたガソリン(BS-III)、ディーゼル(BS-IV)の乗用車。インド国内の自動車排出ガス規制BS(バーラト・ステージ)はEUによる同種規制を基にしており、BS-IIIは2005年以降、BS-IVは2010年以降に順次導入された。現行の最新基準であるBS-VIは、2018年以降導入。

(注2)執行の決定権限は各州政府に委ねられている。

(注3)ただし、生活必需品の運搬やエッセンシャルサービスの提供をする場合を除く。

(サンディープ・シン、丸山春花)

(インド)

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