ミレイ政権、「落ち葉法案」を国会に提出、時代遅れの法律の一掃狙う

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年11月08日

アルゼンチンのミレイ政権は10月14日、存在意義の乏しい約70の法律を廃止、改正することを目的とした旧法廃止法(通称:「落ち葉法」)の法案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を国会に提出した。法案前文によると、政府は1864年から今日までに施行された法律を精査して見つかった約70の実用性のない法律を次の6つの分野に分類し、廃止または改正を提案した。

  • 新たな規定により意義を失った法律
  • 技術と経済の進歩、時間の経過により意義を失った法律
  • 個人の自由に影響を及ぼす法律
  • 廃止により脱官僚プロセスにつながる法律
  • 存在しない手続きや、既に解散した団体に関する法律
  • 国費により賄われる組織に関する法律

具体的な法律の例は次のとおり。

〇新たな規定により意義を失った法律:天然痘ワクチンの接種に関する法律(法律22109号、1979年公布)を例に挙げている。後にワクチン接種で予防可能な疾病の管理に関する法律(法律27491号、2018年公布)が公布されたため、存在意義がなくなっている。

〇技術と経済の進歩、時間の経過により意義を失った法律:炭鉱を発見した者に賞金を与える法律(法律448号、1870年公布)、軍や行政機関がマイクロフィルムを使用することを認める法律(法律18569号、1970年公布)などを例に挙げている。

〇個人の自由に影響を及ぼす法律:私的な場所での集会を国家が監督し、禁止することを認めた法律(法律20120号、1973年公布)、ヒッチハイクで国内旅行する者に「バックパッカーズカード」の携帯を義務付ける法律(法律20802号、1974年公布)を例示した。

〇廃止により脱官僚プロセスにつながる法律:いかなる目的であれ国土の地図を表示する製品は国家地理院に地図の使用許可を得ることを定めた法律(法律22963号、1983年公布)を例示した。弊害の例として、ワイン生産者でも、国家地理院の許可なしに、ラベルにアルゼンチンの位置を図式化して示すことができないとしている。

〇存在しない手続きや、既に解散した団体に関する法律:「スペインとの協力友好一般協定」分析・監視委員会の創設(法律23671号、1989年公布)など、活動実績が認められない複数の組織が例示された。

〇国費により賄われる組織に関する法律:市町村が自発的に加盟するアルゼンチン自治体連盟に関する法律(法律24807号、1997年公布)を改正、国会議員連盟に関する法律(法律20984号、1975年公布)を廃止し、これらの運営に国費を投入しないことを提案した。

フェデリコ・スツルツェネガー規制緩和・国家改造相は「自由こそがわれわれが進むべき道だ。より少ない法律によってこそ、より良い司法が実現できると確信している」と述べ、法案の承認を促した。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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