政府代表団、COP29の会期途中に引き揚げ
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2024年11月29日
アルゼンチン政府は、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に参加していた政府代表団を会期途中の11月13日に引き揚げ、交渉から離脱した。20日付のアルゼンチン現地紙「クラリン」(電子版)によると、同国から参加していたパーティー・オーバーフローと呼ばれるいわゆるオブザーバー参加者のパスも、政府代表団の撤退によって取り消された。
政府代表団が交渉から離脱した理由について、政府は発表していないが、14日に行われたマヌエル・アドルニ大統領府メディア・広報庁長官の会見によると、代表団の撤退はヘラルド・ウェルテイン外相の判断によるものだったとしている。なお、19日付のアルゼンチンの現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)は、G20サミットに参加したハビエル・ミレイ大統領に同行したウェルテイン外相へのインタビューの内容を紹介しており、パリ協定については「アルゼンチンは協定から離脱しないと決めた」「アルゼンチンの立場をあらためて評価する」と述べている。
ミレイ大統領は9月の国連総会での演説で、国連の持続可能な開発のための2030アジェンダを「その目標は善意だが、社会主義的な性質を持つ超国家的なプログラムであり、国民国家の主権を脅かし、人々の生命、自由、財産に対する権利を侵害する解決策によって現代の問題を解決することを目的としている」と批判した。また、2023年の大統領選挙期間中も、気候変動問題が人為的な起源によるものという考えに対して、懐疑的な姿勢を示していた。こうしたミレイ大統領の姿勢が今回の決定に反映されたのかは定かではない。
アルゼンチンのトルクアト・ディ・テラ大学のフアン・ネグリ教授は「ミレイ大統領は、気候変動問題が存在することは否定していない。批判の背景にあるのは、気候変動問題が国際金融機関などによる融資と結びついているためで、ミレイ大統領はより実践主義的な立ち位置を取っている可能性がある」との見方を示した。
(西澤裕介、サンティアゴ・ブリニョーレ)
(アルゼンチン)
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