植物由来など代替タンパク食品の栄養や機能性改善へ、研究助成金を公募

(シンガポール)

シンガポール発

2024年11月29日

シンガポールのコー・ポークン上級国務相(環境持続担当)は11月21日、グローバル・アグリフード科学シンポジウムで、代替タンパク食品の栄養や機能性を改善する研究助成金の公募開始を発表した。植物由来タンパク食品や精密発酵技術で製造した食品を中心に、味や舌触りなどの改善に取り組む研究に、1プロジェクト当たり400万シンガポール・ドル(約4億5,600万円、Sドル、1Sドル=約114円)から800万Sドルを助成する(注1)。

同研究助成金の公募は、シンガポール食品庁(SFA)が食料安全保障に貢献する研究を支援する総額約3億Sドル規模の「シンガポール・フード・ストーリー研究プログラム」の一環だ。今回で2回目の公募となる。助成の対象となるのは、地元の高等教育機関や公的研究機関、外資を含む民間企業だ。コー上級国務相は公募について、「消費者への代替タンパク食品の普及を促進するため、栄養や機能性の強化にフォーカスしている」と述べた。公募は2025年2月11日に締め切られる。

SFAは2019年11月、世界で初めて細胞培養肉を含む新規食品(ノベルフード)の規制の枠組みを導入するなど、代替タンパク食品産業の振興に積極的に取り組んでいる。政府投資会社テマセク・ホールディングスの完全子会社ヌラサ(Nurasa)は、「フードテック・イノベーションセンター」を2024年4月に新設し、ノベルフードの生産拡大と商業支援の本格支援に乗り出している。

アジアのアグリテック・フードテックの資金調達、回復傾向に

2023年には、フードテックやアグリテック分野の資金調達額が世界的に落ちこんだ(逆風か?アジアの代替タンパク食品開発ハブ、ブラック)。しかし、2024年に入り、資金調達を取り巻く環境は回復傾向にある。

米国の食品や農業分野のベンチャーキャピタル(VC)、アグファンダーが11月21日に発表した調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、アジア太平洋地域のアグリテックとフードテック分野のスタートアップの資金調達額は2024年1~10月に42億米ドルとなり、前年同期比38%増加した(注2)。このうち、ノベルフード部門の資金調達額は2億400万米ドルと85%増加した。

(注1)研究助成金の公募の詳細はSFAのサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)同レポートのアグリテック・フードテック分野は、バイオ材料、ノベルフード、農産品専門の電子商取引(EC)、農園管理、農業用ロボット、食品トレース、調理関連テクノロジー、飲食店専向けテクノロジーなど、上流から下流まで含む。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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