大統領、トランプ氏に祝意表明、産業界は利上げ圧力と対中農産物輸出増を予測

(ブラジル、米国、中国)

サンパウロ発

2024年11月12日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は11月6日、米国大統領選挙で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領に、X(旧Twitter)を通じて祝意を表明した。ルーラ大統領は「民主主義は国民の声に基づいており、常に尊重すべきもの。世界の平和、経済発展、繁栄の実現で必ず必要なのは対話と協力だ。新政権の成功を祈念している」とコメントを寄せた。ルーラ大統領はフランスのテレビ局TF1のインタビュー(11月4日付)で「(民主党候補の)カマラ(・ハリス)氏を応援している」と述べたが、6日付の現地紙「CNNブラジル」によると、ブラジル外務省はこの発言の悪影響を払拭するために、トランプ氏のキャンペーンスタッフや共和党の国会議員と積極的に対話を図っている。

ブラジルのメディアや産業界は、トランプ氏の勝利が確実と報じられると、新政権が誕生した場合のブラジルへの影響について一斉に反応を見せた。主な報道要旨は次のとおり。

ブラジルを代表するシンクタンク、高等教育機関のジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)のアルマンド・カステラール教授は6日付の現地紙「エスタード」のインタビューで、トランプ氏が公約している関税引き上げや法人税率引き下げなどを実施した場合、米国のインフレが進行し、それを抑えるための政策金利引き上げや、ドル高の傾向が高まると予測した上で、「ブラジルでは(通貨)レアル安や政策金利引き上げに向けたプレッシャーが強化されるだろう」と懸念を表明した。

8日付の現地紙「グローボ」は、トランプ氏が中国製品に対する関税を引き上げた場合、中国が米国の農産品に対する関税を引き上げる可能性が高く、ブラジルから中国への農産品輸出増加が期待されると伝えた。大豆生産者協会(Aprosoja)のマウリシオ・ブフォン会長は同紙のインタビューで「トランプ氏が関税を強化した場合、ブラジルと中国との大豆貿易も伸びると期待できる」と述べた。コンサルティング企業サフラス・イ・メルカードのアナリストのフェルナンド・イグレジアス氏によると、トウモロコシや食肉でも同様の傾向が高まるとみられる。

6日付の現地誌「イスト・エー」によると、米国が対中関税を引き上げた場合、中国自動車メーカーによるブラジル向け輸出が増加すると予測する声が多い中、全国自動車製造業者協会(Anfavea)のマルシオ・レイテ会長は同日の記者会見で、トランプ氏の当選について質問を受け、「様子をみて、ブラジルにどのような影響がみられるかに注目する必要がある」と述べた。

7日付の現地紙「バロール」によると、アルミニウム業界では、米国側の輸入制限強化を懸念している。ただ、ブラジル・アルミニウム協会(Abal)のジョアナ・ドナス会長は同紙のインタビューで、トランプ氏の勝利がギャンブル ゲーム 無料業界に与えるインパクトを語るのはまだ早いと述べた。また、米国のみならず、欧州も炭素国境調整メカニズム(CBAM)などにより(2023年10月10日記事参照)、ギャンブル ゲーム 無料の輸入規制を強化しているとドナス会長は指摘している。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、米国、中国)

ビジネス短信 23c371c50ea23109