第3四半期のGDP成長率は前年同期比2.3%、好調な輸出と政府消費が成長に寄与

(チリ)

サンティアゴ発

2024年11月20日

チリ中央銀行は11月18日、2024年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比2.3%だったと発表した。2024年の前年同期比の実質GDP成長率は、第1四半期(1~3月)の2.5%から、第2四半期(4~6月)は1.6%に鈍化したが、第3四半期で再び2%台に上昇した。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需は前年同期比0.5%増加し、投資と在庫の減少を民間消費と政府消費の増加で補うかたちになった(添付資料表1参照)。民間消費は医薬品や衣料品などの非耐久消費財と、輸送、医療サービスへの支出が増加し、1.0%増加した。政府消費は主に教育サービスへの支出が拡大し、5.3%増だった。総固定資本形成は、5四半期連続でのマイナス成長となった。設備投資はプラスに転じたが、建設活動の減少により、全体ではマイナス0.2%だった。

財貨・サービスの輸出入は、輸出が6.4%、輸入が1.5%と、どちらも前年同期比プラスとなり、輸出は主に銅と炭酸リチウムの輸出が増加したことに加え、観光サービスと輸送サービスの増加も目立った。輸入は主に原油、衣料品、食品の輸入増によるものだった。

経済活動別にみると、鉱業、製造業、運輸、個人サービスの寄与度が大きかった(添付資料表2参照)。鉱業は、銅や炭酸リチウムの生産量増加により、前年同期比5.1%だった。製造業では、冷凍魚の切り身や魚粉の製造が増加したことに加え、基礎化学品、医薬品、プラスチック製品の製造が増えたことにより、3.2%増だった。運輸は航空輸送や陸上旅客輸送の増加に加え、陸上貨物輸送も増加し、前年同期比6.7%を記録した。個人サービスは前年同期比7.1%だった。主に教育と医療の支出が増加したためで、教育では冬季休暇の日程変更に伴い、7月の授業日が1週間増えたことが影響した。

一方、農林業は前年同期比マイナス8.5%となり、農業では生鮮野菜の生産量の減少、林業では製材業で用いられる松の丸太の需要減が影響した。

中銀は9月に発表した金融政策報告書で、2024年通年のGDP成長率は2.25~2.75%になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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