中国、一部のEU産ブランデーにアンチダンピング措置を開始
(中国、EU)
北京発
2024年10月18日
中国商務部は10月8日、EUを原産地とする一部のブランデー(注1)の輸入に対し、アンチダンピング(AD)措置(注2)を暫定的に実施する公告(商務部公告2024年第42号)を発表した。10月11日から、EUを原産地とする一部のブランデーの輸入にあたっては、対象企業ごとのダンピングマージンに応じた保証金が徴収される。各企業の保証金の比率は30.6~39.0%となっている(注3)。
商務部は1月5日にEUを原産地とする一部のブランデーに対しAD調査開始の決定を公告(商務部公告2024年第1号)し、中国の関連法令(注4)とWTOのルールに基づいて調査を実施した上で、8月29日にダンピングの存在を認定する旨の初歩的な裁定(商務部公告2024年第35号)を下していた。
商務部は10月9日の記者会見で、EUが中国の今回のAD措置に関しWTOで提訴する可能性について問われ、このAD措置は国内産業界からの申請によるもので、法に基づいて調査を行い、正当な貿易救済措置を講じたものであり、WTOのルールに完全に合致していると回答した。その上で、中国は一貫して貿易救済措置の乱用に反対し、EUに、誤ったやり方を直ちに是正し、ともに中国・EUの経済貿易の大局を守るよう促すとした。
WBO(Wine Business Observation)ワインビジネススクールの楊征建院長は「現在は市場のブランデーの在庫が比較的多いため、短期的には影響が表れないが、AD措置が1年以上継続されると、市場への影響が徐々に出てくると考える。これは、国産ブランデーメーカーにとって有利となり得る。また、ウイスキーがブランデーを代替し、国内市場の構造を変える可能性がある」と解説した(「第一財経」10月8日)。
(注1)HSコード22082000の品目のうち、EUを原産地とする200リットル以下の容器に入った蒸留ワインから製造されたスピリッツが対象。
(注2)中国のAD条例の第30条では、AD措置の暫定的実施期間は、AD措置決定公告による実施日から起算して4カ月を超えないこととし、特殊な状況となった場合は9カ月まで延長が可能としている。
(注3)詳細は商務部公告2024年第42号の添付資料、「各企業の保証金比率一覧」を参照。
(注4)中国のAD条例の第28条と第29条などを指す。
(蔣春霞)
(中国、EU)
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