第3四半期CPI上昇率は前年同期比2.2%、中銀の目標圏内へ
(ニュージーランド)
シドニー発
2024年10月25日
ニュージーランド統計局は10月16日、2024年第3四半期(7~9月)の消費者物価指数(CPI)上昇率は前期比0.6%と発表した。前期()から0.2ポイント上昇した。前年同期比では2.2%で、前期から1.1ポイント低下した。CPI上昇率の前年同期比が3%を下回るのは、2021年第1四半期(1~3月)の前年同期比1.5%以来3年半ぶりで、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)の目標圏内(1~3%)に収まった。統計局は「物価は引き続き上昇しているものの、以前(2021年~2023年)ほどではない」との見解を示した。
項目別にみると、医薬品(前期比17.0%)、地方税などの支払い(同12.2%、注)、野菜(同8.4%)が上昇した。地方税などの支払いについては、CPI上昇に対する寄与率が最も大きく、51.0%となった。地方自治体による年に1度の税率改定が影響した。一方、幼児教育(前期比22.8%減)、ガソリン(同6.5%減)が減少した。幼児教育については、政府による一定世帯を対象とした教育手当の導入、ガソリンについては、オークランド地域の燃料税が6月30日から廃止されたことが影響した。前年同期比でみると、家賃(前年同期比4.5%)の上昇が大きく影響した。
ニコラ・ウィリス財務相は、CPI上昇率がニュージーランド準備銀行の目標圏内に戻ったことを受けて、「国民は住宅ローン金利引き下げを期待できるようになり、企業は借り入れコストの低下によって投資や技術開発が容易になるだろう」と述べた。キーウィー銀行は10月16日付のプレスリリースで、生活費高騰の危機は終わりに近づいたとし、今後の政策金利については「金融政策はいまだ抑制的ではあるが、今後の政策金利の引き下げは11月に行われるとみている」との予想を示した。
中銀が政策金利を2会合連続引き下げ
中銀は10月9日、政策金利(オフィシャル・キャッシュレート:OCR)を0.50ポイント引き下げ、4.75%とすると決定した。前回の金融政策会合(8月、ニュージーランドの第2四半期のGDPは再びブラック)に続けて、2回連続の引き下げとなった。
(注)地方自治体が地域の公共工事や上下水道、ごみ処理費用などに充当するため、住民から徴収するRatesと呼ばれる地方税などのこと。
(青島春枝)
(ニュージーランド)
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