米カリフォルニア州、クリーンエネルギー化で蓄電容量が過去5年で15倍超に
(米国)
サンフランシスコ発
2024年10月22日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は10月15日、同州における蓄電容量が過去5年間で15倍超に増加したと発表した。2019年に770メガワット(MW)だった蓄電容量は、2024年10月時点で1万3,391MWに拡大した。2045年までにクリーンエネルギーへの完全移行を目指す同州では、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを蓄える蓄電容量の拡大が重要な課題となっており、さらに5万2,000MWの増強が必要とされている。
この蓄電容量の増加には、カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)の需要側グリッドサポート(DSGS)プログラムが大きく寄与している。同プログラムには26万5,000人以上の州民が参加しており、電力消費の削減や、電力逼迫時に電力を電力網に供給することを奨励している。また、世界最大級のバーチャル発電設備もこのプログラムに含まれており、主に太陽光発電と連携した個人所有の蓄電システムのネットワークを活用することで、200MW以上の電力供給が可能となっている。このプログラムからの蓄電容量は、2024年夏には515MWに達したという。
さらに、蓄電容量の拡大を後押しする政策的な取り組みとして、2023年5月に発表された、クリーンエネルギー化を促進する1,800億ドルの大規模投資があげられる。連邦政府によるインフラ投資雇用法(IIJA)やインフレ削減法(IRA)の支援も受け、投資対象となる太陽光発電、風力発電、蓄電システムプロジェクトに対する建設の迅速化、裁判所審査や許認可プロセスの迅速化といった行政命令も出されており、同州における再生可能エネルギー開発が一層加速している。カリフォルニア州では2024年1月から9月までの間、100%クリーンエネルギー資源からの電力供給が需要を上回った時間が、1,084時間(約45日)に達したという。同州ではこのように、政策と技術の両面からの取り組みによって、クリーンエネルギー社会への移行を着実に進めている。
(松井美樹)
(米国)
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