無申告資産の正規化制度導入で外貨建て預金残高が大幅増加
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2024年10月11日
アルゼンチン中央銀行によると、9月末日時点の民間部門の外貨建て預金残高は314億4,500万ドルで、7月末の185億8,400万ドル、8月末の193億3,500万ドルから大きく増加した。この大幅な増加は、税制改革法の議会承認を受けて、2024年7月17日に施行規則が公布されたことで、無申告資産を正規化する制度の運用が開始されたためだ。資産の正規化には、取引銀行に資産正規化特別口座(CERA)を開設し、そこに正規化する資産を預け入れる必要があるが、中銀によると、9月末日時点のCERAの残高は119億ドルとなっている。
同国では、慢性的な高インフレにより、手元の現地通貨ペソの価値が目減りすることから、並行為替市場でドルを買うなど、さまざまな方法で国内外に無申告の外貨建ての現預金を保有する人が多い。無申告資産の正規化制度は、このような資産を金融システムに取り込むことを目的としている。無申告の資産を申告し、最大15%の税金を支払うことで正規化できる。同制度の受益者は、民事訴訟や過去の租税、為替、関税の違反行為の罰則から免除される。
無申告資産の正規化制度の運用に関して、政府は当初、7月18日から9月末日までを第1ステージ、10月1日から2025年1月末日までを第2ステージ、同年2月1日から4月末日までを第3ステージとしていたが、9月30日に政令864/2024号を公布し、第1ステージを1カ月延長して10月末日までとした。政府はより多くの受益者に制度利用の機会を提供するためとしている。
どのステージに申告しても、申告額10万ドルまでは課税されない。10万ドルを超える分には、第1ステージは5%、第2ステージは10%、第3ステージは15%の税金が課税される。
正規化された外貨建て資産が中銀の外貨準備高に計上されるわけではないが、民間部門から流入する外貨を中銀が外国為替市場で買い、外貨準備高を積み増す可能性はある。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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