メルセデス・ベンツ、カナダ・オンタリオ州政府と連携、モビリティー分野のインキュベーション施設を3拠点設立
(カナダ、ドイツ)
トロント発
2024年10月16日
カナダのオンタリオ州政府とドイツのメルセデス・ベンツは10月8日、同州のモビリティー技術革新を支援する取り組みの1つのオンタリオ・ビークル・イノベーション・ネットワーク(OVIN)と連携し、同州の次世代自動車とモビリティー技術の発展を目的とする新規インキュベーションプログラムの発足を発表した。ウィンザー、キッチナー・ウオータールー、トロントの3カ所にインキュベーター施設を設置する。
オンタリオ州のダグ・フォード首相は「今回の新たなパートナーシップは、オンタリオ州のモビリティー関連産業にとって大きな後押しとなる。産業界、研究機関、起業家の才能を結集することで、オンタリオ州経済を強化し、良質な雇用を創出し、この州を将来の自動車・電気自動車(EV)技術のリーダーとして位置づけるイノベーションを促進する」と述べた。今後はオンタリオ州全域に拡大する予定で、メルセデス・ベンツによるモビリティー分野のスタートアップ向けのオープンイノベーションプラットフォーム「スタートアップ・アウトバーン」の一部にもなる。
同プログラムの参加者は、メルセデス・ベンツのサプライチェーンに参画し、将来的に製品提供の一部を担うことができる。オンタリオ州はまた、コネクテッドカー、自律走行、EV技術、モビリティーソリューションにおける画期的次世代技術の提供や、自動車・モビリティー分野の未来のサプライチェーン構築を担うオンタリオ州発新興企業の強固なパイプライン形成を期待するとしている。
メルセデス・ベンツはこれに加え、ウオータールー大学との共同研究協力に関する覚書に調印した。同社が進めているニューロモーフィック・コンピューティング(注)に関する一連の学術研究を補完する目的で、同大学クリス・エリアスミス教授主導の下、先進運転支援システムのアルゴリズム開発に焦点を当てる。
オンタリオ州では、自動車メーカー、EV用バッテリーメーカー、部品メーカーによる新規投資額が過去4年間だけで440億カナダ・ドル(約4兆7,520億円、Cドル、1Cドル=約108円)に達しており、自動車製造で世界的な存在感を高めている。今回のプログラムを通じて、世界的な産業界の専門知識と同州の起業家精神や学術的才能が結びつき、同州が次世代の自動車とモビリティーの進歩の最前線に位置づけられることが期待される。
(注)脳型コンピュータとも呼ばれ、人間の脳を模倣したコンピューティング技術のこと。従来のコンピュータより少ない電力でより多くの計算が可能とされる。
(グリーンバーグ綾子)
(カナダ、ドイツ)
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