米ライテン、ネバダ州に世界初のリチウム硫黄バッテリーのギガファクトリー建設計画を発表

(米国)

サンフランシスコ発

2024年10月24日

先進素材を手掛ける米国スタートアップのライテン(本社:カリフォルニア州サンノゼ)は10月15日、ネバダ州リノ近郊に10億ドルを投資し、世界初のリチウム硫黄バッテリーのギガファクトリーを建設する計画を発表した。

2027年に第1段階の稼働を予定しているこの工場は、フル稼働時に年間最大10ギガワット時(GWh)のバッテリーを生産できる能力を持ち、リチウム硫黄バッテリー市場の重要な拠点となる見込みだ。特に同社は正極材に硫黄を使用し、ニッケルやコバルト、マンガン、グラファイト(黒鉛)といった希少鉱物を使用しないことで、サプライチェーンで中国依存からの脱却を目指している。

この計画に対し、ネバダ州のジョー・ロンバルド州知事(共和党)は、同州がバッテリー製造の重要拠点として急成長し、ライテンのギガファクトリー建設が今後も地域経済の成長と雇用創出に貢献することに期待を寄せた。

リチウム硫黄バッテリーは、リチウムイオンバッテリーと比べて、エネルギー密度が高く、軽量な上、豊富な硫黄を利用することで費用効率にも優れているという利点がある一方、劣化が早く、バッテリー寿命が短いことや、電解質の安定性に課題があった。

ライテンは3Dグラフェンを開発し、従来のグラフェン(炭素原子の単層膜)を3次元構造にすることで、バッテリー内の硫黄を安定化させ、バッテリー寿命を延ばすなど、性能を大幅に向上させた。2025年にはドローン、マイクロモビリティー、衛星、防衛用途での市場参入を予定しており、数年以内に電気自動車(EV)向けのバッテリーとして広く採用される見通しだ。同社はステランティスやフェデックスなどから資金調達している。

(松井美樹)

(米国)

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