日産、充電系統合の合弁会社に出資発表、米フォード、ホンダ、BMWに次ぎ4社目
(米国、カナダ、日本)
ニューヨーク発
2024年10月16日
日産自動車は10月7日、電気自動車(EV)用電力系統の統合を目的とする米国チャージスケープ(本社:ニューヨーク州)への出資を発表した。チャージスケープは9月に、フォード、ホンダ、BMWが均等に出資して設立した合弁会社で、今回の日産の参加により各社の出資比率は25%となる。
チャージスケープは、家庭でのEV充電で使用する電力の最適化と、電力系統の安定化を目的に、自社のプラットフォームを通して、リアルタイムで電力系統の状況に合わせた電気の流れを管理する。電力会社にとっては、複数メーカーのEVにアクセスできること、利用者にとっては、電力需要が高い時間帯に充電を一時停止したり、電力を売り戻したりすることで、キャッシュバックなどのインセンティブを得られるメリットがある。対象地域は米国とカナダで、2025年初めに事業が開始される予定。
チャージスケープのジョセフ・ベローネ最高経営責任者(CEO)は「日産の参加決定により、顧客がより安価で持続可能な方法で充電できるように支援するという当社の取り組みと、車両と電力系統の統合分野で当社が中心的な立場にいることが強調されることになる」と歓迎した。日産の子会社で、バッテリーリサイクル事業を手掛けるフォーアールエナジーのケント・オハラ社長は「チャージスケープは、電力会社とEVドライバーをより便利かつ効果的に結び付ける。管理充電のプログラムへの参加に対するインセンティブをドライバーに提供することで、(EVの)所有体験をより価値あるものにする」との期待を示した。
2024年第3四半期(7~9月)のバッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計販売台数は、前年同期比9.3%増加した(注)。日産は現在、米国でBEVの乗用車「リーフ」とスポーツ用多目的車(SUV)「アリア」を販売しており、2024年第3四半期の販売台数はそれぞれ前年同期比2.9倍、23.3%増と伸びている。同社は電動化に関し、今後3年間で16車種、2024年度から2030年度までに34車種とする世界販売計画を発表している。
(注)モーターインテリジェンス発表による暫定値。
(大原典子)
(米国、カナダ、日本)
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