ペンス米前副大統領、JASIイベントで日本製鉄のUSスチール買収に支持表明
(米国、日本)
シカゴ発
2024年10月23日
インディアナ日米協会(JASI)は10月17日、マイク・ペンス前副大統領(共和党)を迎えた夕食会をインディアナポリスで開催し、ペンス前副大統領は民主主義への脅威や日米関係、世界各国との同盟の重要性をテーマに基調講演を行った。講演の内容で注目されたのは、日本製鉄による米国鉄鋼大手USスチールの買収に関して、同氏が支持を表明したことだ。ペンス前副大統領は「買収計画が承認されれば、数十億ドル規模の設備投資が行われ、工場も存続するだろう。しかし、承認されなければ、製鉄所は閉鎖され、何千人もの米国人労働者が職を失い、『ラストベルト』と呼ばれる工業地帯は再び空洞化し、政府に裏切られることになるだろう」と述べた。
また、国家安全保障上の観点からもこの買収計画を支持するとし、「日本と手を組むことで、中国を封じ込め、鉄鋼産業を強化し、自国と同盟国を守るためのより良い立場を築くことができる」との考えを示した。中国は現在、世界の鉄鋼生産量の半分以上を占めており、ロシアも米国に匹敵する規模で生産をしているという。ペンス前副大統領は、中国に鉄鋼の独占を許せば、兵器などに必要な鉄鋼を中国に依存せざるを得なくなるとの見解を示し、「日本製鉄は中国でもロシアでもない信頼できる同盟国からのパートナーだ」と述べ、同盟関係を維持することの重要性を強調した。
同買収計画はこれまでにジョー・バイデン大統領をはじめ、民主党大統領候補のカマラ・ハリス副大統領、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領も、反対を表明しており、政治的な論点となっている(ハリス米副大統領、「USスチールはブラック)。買収計画に関する決定は、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が両社に買収承認申請の再提出を認めたため、11月5日の大統領選挙後に先延ばしとなっている(ロイター9月18日)。
なお、ペンス前副大統領は「今回の選挙戦には参加しない」姿勢で、いずれの大統領候補も支持しないとしている。
(星野香織)
(米国、日本)
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